今週の金融市場の動き総括、2月28～3月4日

今週は米2月ADP雇用統計と2月雇用統計など重要な発表が多かった。またカナダと豪の政策金利発表もあった。全体的に材料が多かった週だったが、最も重要な要素は今週にかけてさらに激化してきたロシアのウクライナ侵攻だったことは疑いようもない。

原油や小麦が暴騰

　今週は重要な経済指標発表が多かった。1日火曜にはカナダの第4四半期GDPが発表され、予想の前期比年率6.5％増に対し発表は6.7％増と好調な数字だった。2日水曜には豪第4四半期GDPが発表され、予想が前期比年率3.7％増、結果は4.2％増とこちらも予想を上回った。

　同じ日にはユーロ圏の2月消費者物価指数が発表され、予想を0.4ポイント上回る前年同期比＋5.8％とユーロ圏の統計開始以来の最高値をまた更新した。またこの日にはアメリカの2月ADP雇用統計が発表され、予想の前月比38万8000人増に対し発表は47万5000人増だった。そして4日金曜に発表された米2月雇用統計は、予想が前月比40万人増、結果が同67万8000人増と予想を大きく上回る増加だった。

　政策金利は1日にオーストラリアが発表し0.1％のまま据え置き。2日にはカナダが発表し予想通り0.25％の利上げだった。

　2日には米FRBのパウエル議長が米議会で証言を行い、今月行われるFOMCで利上げの用意があることを明言した。

　しかしこれらの材料より今週の金融市場にとって最も大きかったのは、先週24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻であろう。先週末には欧米や日本がロシアの銀行をSWIFTネットワークから排除すると決定し、ロシアとの対立は軍事から経済面にも広がった。

　今週中には各国政府や企業が次々とロシアへの制裁や取引停止を発表した。だがそれでも4日になるとロシア軍がウクライナの原発に攻撃との情報が流れ、金融市場にも激震が走った。

　NY株式市場は今週も軟調な1週間だった。ダウ工業平均は28～1日にかけて2日連続下落したものの、パウエル議長の証言で利上げペースはやや緩やかになるとの観測が広がり2日は前日の下げ幅とほぼ同じ596ドル上昇。しかし3～4日にまた下落し、週足では444ドル安だった。

　東京市場では日経225平均は28～1日多少上昇して1日には一瞬だけ27,000円を回復。だが2日には451円安で終わり、小幅高の3日を挟んで4日には再度592円安の大幅下落。4日には場中の値として2020年11月以来の安値である25,774円をつけた。

　先物市場では特に原油が暴騰。ウクライナにおける戦闘の激化と経済制裁でロシア産原油が市場に出回らなくなるとの懸念から猛烈に上昇し、100ドルを越えてさらに110ドルを突破。週の終値は115ドルで週の上昇率は約25％にもなった。

　穀物銘柄は全体的に上昇したが、特に暴騰したのが小麦だった。先週を1ブッシェル＝8.5セント付近で終えたシカゴ小麦は、今週は月曜を除いて火曜以降4日連続ストップ高まで上昇。週の終値は12.09セントで週の上昇率は約40％にもなり、2008年につけた史上最高値に接近した。

　来週は10日木曜にアメリカの2月消費者物価指数が発表を予定されており、ベース指数で前年同月比＋7.9％、コア指数で同＋6.4％と前月より一段とインフレの進行が予想されている。また同じ日にはユーロ圏の政策金利も発表される。しかし最も重要な材料は、今週に引き続きウクライナ情勢となるだろう。