今年になって原油価格が上昇し国内ガソリン価格などへの影響が出ているが、天然ガスの価格は春以降に原油価格以上の勢いで上昇している。天然ガス高は原油高ほど幅広い影響は出ないものの、電気代などへの影響が考えられる。
昨年後半からいろいろな先物価格が高騰してきた。昨年秋から今年春にかけて高騰が目立っていたのは、大豆、小麦、コーンといった穀物価格だった。しかしこれらの穀物価格は今年春頃になると上昇が止まり、その後は暴落はしないまでも大きな上昇はない。
原油価格は特に2021年前半の6ヶ月は上昇が続き、7月6日には一時77ドルをつけて2014年以来の高値となった。だがその後2週間で10ドル以上の調整下げが入ったことで高値更新は止まり、8月2日現在では73ドル付近で推移している。
その一方で春以降かなりの勢いで上昇が続いてきたのが天然ガスだ。天然ガス価格は7月の原油のように目立った調整もなくずっと上昇してきた。
天然ガスの先物は通常100万BTUあたりで取引される。BTUとは熱量の単位であり重さや体積ではないので、kgや立法メートルといったよく知られている重さや体積の単位に換算することはできない。
NY先物市場の天然ガス価格は、昨年春にはパンデミックによる需要落ち込み懸念から100万BTU=1.5ドルまで近くまで落ち込んだ。
しかしその後は他の先物銘柄とともに上昇し、秋には一旦3ドルを突破。冬から今年春先にかけて軟調な動きが続き4月には2.5ドルだったものの、4月以降はこれまで以上のスピードで上昇。7月下旬には2018年末以来となる4ドルをつけた。
春以降天然ガス価格が上昇している背景には、世界経済の回復期待がある。また仮想通貨の普及によってマイニングのための電力需要、それに伴う発電用天然ガス需要の増加や、各国がEV(電気自動車)シフトを打ち出し同じく電力と天然ガス需要が高まっていることなどが考えられる。
理由はともかく、天然ガス価格が高騰すれば日本国内の電気代などに影響が出てくる。日本は発電用の天然ガスを液化天然ガス(LNG)という形で輸入している。LNGとは、天然ガスを液化させて輸送がしやすいようにしたもの。
日本が購入するLNGの指標として、JKM(Japan Korea Marker)というアジア向けのスポット価格が存在している。この価格はNY市場の先物とはかなり違う値を取っているが、今年1月には100万BTUあたり32ドルという史上最高値をつけた。
32ドルとはNY市場の天然ガスと比べると極端に高い数字だが、これは昨年冬に日本や韓国を厳しい寒さが襲い、暖房需要が伸びたための上昇だった。その後は急落し3月には5ドル台になったものの、4月以降ジリジリと上昇して7月末には15ドルを超えた。
LNG価格が上昇すれば、LNGを使って発電をしている日本の電気代に影響が出る。そして最近は電力業界の規制が緩和され新電力会社が参入してきた。新電力会社の中には燃料代依存で大きく変動する電気料金体系を採用しているところもあり、そういった電力会社を使っている消費者は燃料代が高騰すれば電気代が跳ね上がる。
そして昨冬の燃料代高騰のために倒産した会社もある。F-Powerという電力会社は、燃料代高騰が主因で3月24日に会社更生法の適用を申請した。
このように昨冬の天然ガス価格高騰でもかなり影響が出たのだが、現在の天然ガス高が続けばまた日本の電力業界への影響が大きくなっていくだろう。
この書類に含まれる素材はiFOREXではなく、独立した第3機関により作成されたもので、いかなる場合においても、直接的・間接的、明示的・暗示的にかかわらず、投資に対する助言や、金融商品に関する投資戦略の推奨、提案として解釈すべきものではありません。この書類に含まれる過去の実績や、それに基づくシミュレーションは将来の成果を保障するものではありません。
すべての免責事項はこちらをクリックしてご確認ください。
iFOREXは数百銘柄の通貨、仮想通貨、商品、指数、ETF、株式をCFD形式で取引することができます。
方法は簡単、3ステップでCFD取引を注文できます。
iFOREXに今日参加すれば、次の素晴らしい特典パッケージがあなたのものに
25年以上信頼されるサービスプロバイダー
iFOREXグループは業界で最も大きく尊敬される企業の一つです。1996年に成功した銀行家のグループにより設立され、世界中の人の毎日の市場へのアクセスが目標です。
3つの主な約束
私たちは、提供するグローバルな取引商品の多様性と、使用する革新的な技術、常に向上し続けるカスタマーサービスで、業界のリーダーであり続けます。