今週の金融市場の動き総括、9月5～9日

今週は豪、カナダ、そしてユーロ圏の政策金利が発表されたが、それらはほぼ予想通りだった。一方先月26日のパウエル議長の講演以来続いてきた米長期金利と米ドル高は今週前半も継続したものの、週後半になるとようやく米ドル高が一服した。

1ドル＝144円台まで円安に

　今週はオーストラリア、カナダ、そしてユーロ圏が政策金利を発表した。6日火曜に発表されたオーストラリアの政策金利は、予想通り0.5％の利上げで2.35％とされた。同時に発表された声明では今後の追加利上げが示唆されたものの、8日はロウ総裁が講演を行い利上げペースの減速を示唆した。

　7日水曜にはカナダが発表し、予想通り0.75％の利上げが発表されて3.25％とされた。前回の1％より利上げ幅が小さかったが、声明では今後も追加利上げがあると述べられた。

　そして8日木曜にはECBが政策金利を発表。今回は利上げ幅が0.5％か0.75％かで最後まで予想が割れていたが、発表されたのは0.75％利上げだった。

　今週の経済指標は比較的重要なものが少なかった。7日にはユーロ圏の第2四半期GDP確定値が発表され、予想の前年同期比3.9％増を上回る4.1％増だった。8日には日本の第2四半期GDP確定値も発表され、予想の前期比年率2.9％増を上回る3.5％増で、速報値時点の2.2％増よりかなり上方修正された。

　先々週の26日にはFRBのパウエル議長がジャクソンホール会議で講演し、今後もインフレ抑制のために利上げを続けていく姿勢を示した。この発言によってその後米長期金利と米ドルが上昇し、米長期金利と米ドル高トレンドは先週いっぱい継続した。

　そして米長期金利・米ドルの上昇は今週前半も継続し、米長期金利は6月以来となる3.3％をつけたがその後は3.2～3.3％で落ち着いた。

　先週後半に1998年以来24年ぶりとなる1ドル＝140円台をつけた米ドル/円は、今週の初日である5日月曜はアメリカが祝日だったこともありあまり動かなかった。しかし6日になると猛烈な円安・米ドル高が進行。翌7日夜には144円台をつけ145円寸前になり、24時間あまりで4円以上円安になった。

　しかしそこで円安・米ドル高も一服し、その後は日本政府や日銀関係者からの円安をけん制する発言が相次いだこともあって調整の円高が進行。9日には一時141円台をつけ、週の終値は142円台後半だった。

　株式市場も週の前半は先週までの軟調な地合が続いたが、後半になって切り返した。NYダウは5日休場の後6日に173ドル安と続落し、31,000ドルに接近して7月以来約2ヶ月ぶりの安値をつけた。しかし7日以降は地合が変わり3日間連続上昇して3日間の合計上昇幅は約1,000ドルになり、週足では833ドル高だった。

　東京株式市場も同様で週前半は軟調な展開が続き、日経225平均は7日に一時約2ヶ月ぶりの安値となる27,200円台をつけた。だが8日には635円暴騰し、9日も続伸して週足では564円高だった。

　来週は13日火曜にアメリカの8月消費者物価指数が発表の予定となっており、前月より低い前年同月比＋8.1％が予想されている。アメリカのインフレも多少はピークアウト感が出てきているが、来週同様に8月のインフレ率が発表されるユーロ圏などではまだ上げ止まりが見えない。来週は各国の消費者物価指数が大きな材料となると思われる。