今週の金融市場の動き総括、9月1～5日

今週は米8月ADP雇用統計と8月雇用統計の発表があり、8月雇用統計の方は予想を大きく下回ったことで9月のFOMCにおける利下げがほぼ確実になった。そして週末の7日日曜には、日本で石破総理が辞任するという大きな動きがあった。

NY株式市場は軟調

　今週は4日木曜にアメリカの8月ADP雇用統計が、5日金曜に8月雇用統計が発表された。4日に発表された8月ADP雇用統計は、予想の前月比6万5000人を下回る同5万4000人増だった。さらに5日に発表された8月雇用統計は、予想の前月比7万5000人増を大きく下回る2万2000人増だった。

　2つの雇用統計、特に5日発表の方が大きく予想を下回ったことで9月中旬に行われるFOMCで利下げが発表されることがほぼ確実視されるようになった。

　これら以外に発表された今週の主な経済指標を見ると、2日火曜にはユーロ圏の8月消費者物価指数速報値が発表され予想の前年同月比＋2.0％を上回る＋2.1％だった。3日水曜にはオーストラリアの第2四半期GDPが発表され、予想の前年同期比1.6％増を上回る1.8％増だった。そして5日にはユーロ圏の第2四半期GDP確定値が発表され、予想の前年同期比1.4％増を上回る1.5％増だった。

　政策金利はポーランドのみが3日に発表し、予想通り0.25％の利下げで4.75％とされた。

　先週はダウ工業平均が史上最高値を更新して勢いに乗っていたNY株式市場だが、今週は調整の週となった。1日月曜はレイバー・デーで休場した後、2日火曜は249ドル下落し3日も小幅続落。4日は米8月ADP雇用統計が予想を下回ったためにFRBの利下げ観測が台頭して350ドル上昇したものの、5日の8月雇用統計の低調な数字は景気後退観測を高めこの日は220ドル安。週足では144ドル安だった。

　東京株式市場では先週後半にエヌビディアが決算を発表した後下落したことで、今週前半は半導体株などに売りが多く出て軟調な展開となった。日経225平均は1日に530円下落し、2日は小幅に反発したものの3日に372円安となり42,000円を割った。しかし週後半になると地合が変わり、4日は642円も上昇し5日も438円続伸。週足では300円高だった。

　為替市場では米ドル/円は1ドル＝147円付近から今週をスタート。そして2日に自民党の党四役全員が辞任を表明すると円売りが増えて2日から3日にかけて円安が進行した。そのまま148円台に留まっていたものの、5日の米8月雇用統計が予想を下回ったことで一時は146円まで円高になった。

　そして今週は週末に大きな動きがあった。2日に党四役が辞任を表明してすでに政権運営が極めて厳しくなっていた石破総理が、7日日曜についに正式に辞任した。自民党は今後すぐに党の総裁選を行う見通しだが、政局の混迷化は避けられないと見られる。

　来週はユーロ圏、ロシア、トルコの政策金利発表があり、また11日木曜にはアメリカの8月消費者物価指数が発表される。だが東京株式市場にとってはこれらよりも石破総理の辞任によって週明けどのような動きが起こるかが、気になるところだ。