今週の金融市場の動き総括、4月4～8日

今週は重要な経済指標の発表は少なく、また主要国の政策金利発表も豪のみだった。その一方でFRB幹部やFOMC議事要旨によって米利上げの加速見通しが高まり、それが株式市場の重しとなった。

日経は週足680円安

　今週は重要な経済指標の発表は比較的少なかった。8日金曜に発表されたカナダの3月雇用統計は予想の8万人に対し発表は7万2500人と少なかったが、同時に発表された3月失業率は予想通りの5.3％で前月より0.2ポイント改善されていた。

　また4日月曜に発表されたトルコの3月消費者物価指数はほぼ予想通りの前年同月比＋61.14％で、約20年ぶりの高いインフレ率だった。

　日本では今週4日から東証が新市場区分である「プライム」「スタンダード」「グロース」の運用を開始。特に不具合などはなく順調なスタートとなった。しかし本来銘柄数を500程度に絞って価値を高める予定だった「プライム」に1,800社以上が入っており、当初の意義を達成できていないとの声もある。

　一方アメリカでは、5日火曜夜から6日水曜未明にかけてFRB幹部による引き締め加速を示唆する発言が相次いだ。また7日木曜午前3時に発表されたFOMC議事要旨でも、多くの参加者が今後の引き締め加速を検討していることが明らかになった。

　FRB幹部の発言やFOMC議事要旨によって今後の引き締め加速見通しが高まったことで、今週の株式市場はさえない動きが続いた。先週前半まではリバウンド相場が続いていたNY株式市場では、今週4日はダウが103ドル上昇。しかし5～6日にかけて出た引き締め加速材料のためこの2日間で合計424ドル下落。7～8日には小幅反発したが週足では200ドル安で終了した。

　今週から新市場区分がスタートした東証も同様で、日経225平均は4～5日には小幅上昇したものの6日には437円、7日には462円と2日連続で大幅下落。8日には多少反発したが27,000円を回復することはできず、週足では680円安だった。

　為替市場では今週を122円台からスタートした米ドル/円は米引き締め加速見通しによる米長期金利上昇とともに円安・米ドル高が進行。週後半には一時125円に接近した。

　先物市場では週末にロシア軍による虐殺の跡が見つかったことで、週明けはEUがロシアに対する制裁を強化すると述べて原油価格が上昇。5日には一旦105ドルをつけた。だがその後、米政府が毎日100万バレルずつ6ヶ月間の石油備蓄を放出と発表し、原油は下げに転じた。

　さらに週後半には日本を含むIEA（国際エネルギー機関）の加盟国が6,000万バレルの備蓄を放出すると発表したために週後半には原油安が継続。7日夜には一旦93ドル台をつけたが、その後は週の終了まで90ドル台半ばに留まった。

　来週はカナダ、ユーロ圏、ニュージーランド、トルコの政策金利が発表される。ユーロ圏とトルコは金利据え置き予想だが、カナダは0.5％、NZは0.25％の利上げが予想されている。

　15日金曜は欧米を中心に多くの国が、グッド・フライデーで休場する。12日火曜には米3月消費者物価指数の発表が予定されており、その数字次第で米利上げ加速見通しがまた高まるだろう。