今週の金融市場の動き総括、10月27～31日

先週末に米中が閣僚級会談で貿易問題について基本合意。それに加えて先週に成立した高市政権の政策への見通しも買い材料となり、今週の東京株式市場は日経が週足で3,000円以上も暴騰した歴史的な株高の週となった。

日経は10月に7,479円高

　今週は非常に材料が多い週となった。まず日本、アメリカ、ユーロ圏、そしてカナダの4ヶ国・地域が政策金利を発表。29日水曜夜にはカナダが政策金利を発表し予想通り0.25％の利下げが発表され金利は2.25％とされた。

　30日木曜未明にはアメリカの政策金利が発表され、予想通り2会合連続の0.25％利下げで政策金利は3.75～4％とされた。ただしその後のパウエル議長の会見で、次回・12月の追加利下げには慎重な姿勢が示された。

　30日の正午頃には日銀が予想通り0.5％のまま据え置きを発表。発表後の植田総裁の会見では、パウエル議長とは逆に今後の利上げに対して慎重な姿勢を示す発言があった。そして同日夜に発表されたユーロ圏の政策金利は予想通り2.15％の据え置きだった。

　今週発表された主な経済指標を見ると、30日にはユーロ圏の第3四半期GDPが発表され予想の前年同期比1.2％増を上回る1.3％増だった。また31日金曜にはユーロ圏の10月消費者物価指数が発表され予想通りの前年同月比＋2.1％だった。ただし食料品などを除いたコア指数は予想を0.1ポイント上回った。

　そして今週は政治的材料が市場に大きく影響した。先週末に米中が閣僚級会談を行い、貿易問題について基本合意。これが株式市場にとって大きな買い材料となった。また米中は今週末に貿易合意について正式にまとめた文書を公表した。

　日本では先週高市政権が成立しており、今後の財政懸念を高める政策が多いために円安が進行すると同時に株高材料にもなった。先週末の米中貿易合意と合わせて東京株式市場にとっては強力な後押しとなり、今週は歴史的な上昇相場の週だった。

　日経225平均は週明け27日月曜に史上初めて50,000円の大台をつけ、1,213円の大幅高でこの日を終了。翌28日は293円下落したものの、29日は1,088円高と再度4桁上昇して51,000円を突破。30日には小幅続伸し、31日は1,085円高と3度目の4桁上昇で52,000円を超えた。これで今週は週足3,112円高、4回終値の最高値を更新し3回4桁上昇するなど記録的な週となった。

　一方NY株式市場は東京株ほどの上昇にはならなかった。米中貿易合意を受けて27日のダウ工業平均は337ドル上昇。だが米政策金利発表という材料があったにも関わらず28～31日の4日間は小幅推移が続き、週足では355ドル高だった。

　為替市場では米ドル/円は1ドル＝153円から今週をスタートし、28日頃にやや円高に動いて一旦152円付近まで後退。しかし30日の日米政策金利発表とその後の両総裁の会見によって急激な円安になり、2月以来となる154円をつけた。

　来週はイギリスとオーストラリア、それに新興・中堅国4ヶ国が政策金利を発表する。またアメリカの10月ADP雇用統計と10月雇用統計の発表もある。そして今週末に米中が正式に貿易問題で合意文書を発表したことで、貿易戦争リスクが遠のき今週の株高が来週も続くかもしれない。