今年初めて日銀のETF買いが発動

米利上げ見通しや国内の感染拡大を受け、14日の東京株式市場は軟調な展開となった。そして14日には今年初めて日銀がETFを購入。昨年10月1日以来約3ヶ月半ぶりのETF買い発動となった。

前場2％下落が条件か

　2022年大発会の日には日経225平均が510円高と暴騰し好調なスタートを切ったものの、その後はアメリカの早期利上げ観測や国内感染の爆発的な拡大のため、さえない展開が続いている。

　14日も軟調な展開となり、日経225平均は前場に大きく下落し一時は28,000円を割って600円安に。しかし後場に切り返し、終値は365円安の28,124円だった。そして14日には日銀がETFを約700億円購入した。日銀のETF買いは昨年10月1日以来で、約3ヶ月半ぶりとなる。

　昨年は10月1日以降ほぼ3ヶ月にわたって日銀がETFを全く買わなかったため、「日銀はもう買わないのではないか」と見る者もいた。だが1月14日の買いで日銀のETF買い政策は完全に終了したわけではないことがわかった。

　昨年3月に日銀は異次元緩和政策の大幅修正を発表し、修正策は4月から実施された。修正策では購入するETFはTOPIX連動型だけで、日経225平均連動型はもう買わないことになった。

　したがって買い発動の条件があるとすれば、前場のTOPIXの動きにあると見られていた。ちなみに2020年までの買い発動条件は、TOPIXが前場に0.5％以上下落した場合だった。ところが昨年2月頃からその条件を満たしても買わないケースが出てきたため、市場では「1％に変更された」などの観測が飛び交っていた。

　しかし昨年4月を過ぎると前場にTOPIXが1％以上下げても買われない日が増えた。そのため4月以降は買い発動条件がかなり厳しくなったのは明らかだった。

　そして今年1月14日の話に戻ると、14日は前場にTOPIXが2％をかろうじて上回る程度下落し、日銀はETFを購入した。昨年10月1日も同様に前場に2％をやや上回るほど下落し、日銀のETF買いが発動した。この2回のETFから判断すると、現在の日銀は前場にTOPIXが2％以上下げた場合にETF買いを発動させていると見られる。

　昨年10月1日以降、前場ではなく1日にTOPIXが2％以上下げた日なら何度かあった。11月26日は41ポイント安で、下げ率で言えば2％をやや上回った。12月20日は43ポイント安で、下げ率は2.2％だった。1月6日は42ポイント安で、こちらも下げ率は2％を多少上回った。

　だがこれらの3営業日にはETF買いは行われなかったが、それは前場だけで見ると2％以上下がらなかったからではないかと見られる。

　1月14日の買い入れ額は約700億円だったが、2020年10月1日以降は一度のETF買い入れは常に約700億円以下だった。2020年3月には株価大暴落を受け1日に2,000億円も買ったが、そのような莫大な買いはその時だけだった。

　現在の条件だと今後も年間の買い入れ額は1兆円未満の少額が続くと思われる。しかし将来また暴落がきた時には、買い入れを増やして対処するのかもしれない。