ベネズエラの危機は深化し崩壊寸前まで来ている

ベネズエラの危機は深化し崩壊寸前まで来ている

著者 鳥羽賢
2016年06月22日

去年から深刻化してきたベネズエラの経済危機は、今年になってさらに悪化を続けている。人々は犬や猫を食べるところまで追いつめられており、このまま行けば国家としてのベネズエラが崩壊するのも遠くないのではないかと見られている。

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食料や電気が完全に不足

数年前までベネズエラ経済はそこまで悪い状態ではなかった。ところがここ1~2年で急速に悪化してきたのだが、その最大の理由は原油価格の下落にある。ベネズエラは産油国だが輸出の95%を石油に頼るほど石油依存体質になってしまい、2014年後半以来の原油価格の下落が国家経済を直撃してしまった。

原油価格が下落すると国家全体の収入が減り、結果として食料など生活に必要なものも輸入できなくなる。通貨・ボリバルは為替市場で下落し、国内のインフレ率は今年には年間1000%を超えようという勢いになった。

ここまで悪化してきたのは単に原油価格の下落だけではなく、現マドゥロ政権の失政も大きい。マドゥロ政権はインフレ対策として安易な政策を繰り返してきた。例えば企業に商品を無理に安く売らせるような政策を実施すると、利益が出ないので企業は販売そのものを止めてしまう。結果として物不足になりインフレは政策実施前より悪化するものだ。このような安易な政策は、最近のジンバブエでも実施され同国のハイパーインフレの原因となった。

原油安と失政の結果経済は極度に悪化し、人々は食料を得るためにお店に何時間も並ばなくてはいけなくなった。電力も不足し電気がある時間よりもない時間の方が多くなった。教師も食料を得るために並ばないといけないので、学校は休講の時間が増えた。また子どもたちの方も学校に来られない子どもが増えた。

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国内ではマドゥロ政権に対する抗議デモが頻発しているが、マドゥロ大統領は辞任する気配がない。そして今年になって、食料品不足のために各地で略奪や強盗が激増している。

全ての事態が悪化しており、改善する兆しは何もない。ベネズエラはとにかく原油価格が上がらないと立ち直れない経済になってしまっているが、原油が50ドルを超えて上昇する見通しはない。

このまま行くと、ベネズエラがデフォルトすることも十分考えられる。ただ国がデフォルトする前に、国営石油会社のPDVSAにデフォルトの危機が迫っていると見られている。PDVSAは10月に14億ドル(約1450億円)、11月には28億ドル(約2900億円)の債務の支払いが待っている。これを支払えないとデフォルトになる可能性がある。

最近ベネズエラの石油鉱業相でPDVSAのデルピノ社長が、「原油価格が50ドルならPDVSAのデフォルトは回避できる」と発言していた。しかしこの言葉をどこまで信じられるかはわからない。

PDVSAがデフォルトすれば、そのままベネズエラの国としてのデフォルトにつながることもありえる。原油価格の低迷が続く中、ベネズエラ経済の危機は終わりが見えない。

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