ソフトバンクG決算は中国株安響き減益

ソフトバンクグループが8日に2021年9月中間決算を発表。投資してきた中国企業の株価が下がったため、7～9月の四半期は純損益が赤字に転落。4～9月の半期も純利益が前年同期に比べて大幅に減少した。

虎の子のアリババも下落

　ソフトバンクグループ（銘柄コード：9984）が、8日に2021年9月の中間決算を発表した。その内容によると、売上高は前年同期の2兆6300億円から13.4％増の2兆9800億円だった。

　しかし純利益は前年同期の1兆8800億円から80％も激減して3,630億円だった。ここまで利益が激減したのは直近の四半期である7～9月期に3,980億円の赤字に転落したことが大きい。そして7～9月期には、同社が運営する投資ファンドである「ソフトバンク・ビジョン・ファンド（以下、「SVF」）」が、1兆1670億円もの巨額の損失を出した。

　7～9月期のSVFの巨額の損失は、投資している中国企業の株価が下落したためだ。例えば中国の配車アプリ大手・滴滴出行（銘柄コード：DIDI）は、前四半期の最終日となる6月30日にNY株式市場に上昇した。

　滴滴出行の公募価格は14ドルで、初日は一時30％近く高い18ドルまで上昇しつつ14.14ドルで終了とまずまずの出だしだった。しかしわずか4日後の7月4日に、中国当局はユーザーのデータを違法に収集・利用しているとの理由で、突然滴滴出行のアプリの配信停止を命じた。

　そのため週明け7月6日のNY市場で滴滴出行株は20％も暴落して12.49ドルで終了。その後も規制のためにさえない動きが続き、7～9月期の最終日である9月30日は7.79ドルと6月30日時点より40％以上価値を下げた。

　同じくSVF出資のオンライン教育企業の掌門教育（銘柄コード：ZME）も、滴滴出行と同様の経緯を経てより悲惨な暴落となっている。同社は6月8日に上場し、初日は20ドルを超える値をつけた。

　だが7月22日に中国が突然学習塾やオンライン教育の営利目的運営を禁止したため、翌23日には同社の株は35％も暴落して6.18ドルに。その後も営利目的運営ができないため業績見通しと株価は改善せず、11月に入ると2ドル未満とピークの10分の1未満になってしまった。同社の9月30日時点の株価は6月30日時点より80％近くも下げた。

　またソフトバンクグループにとっては虎の子と言えるアリババ（銘柄コード：BABA）も、昨年秋をピークに株安が続いている。特に今年6月末から9月末までの3ヶ月間で35％も下落したことが、ソフトバンクグループにとっては大きく響いた。

　ソフトバンクグループはもはや投資が基幹事業となっているため、その業績は株式市場の動きに大きく依存する。米国株は上昇が続いている状況でも中国株が下落したたけで大きく業績が傾くなら、今後米国市場も下落に転じた場合同社は非常に厳しい状況に追い込まれるだろう。