中国株は突然の規制で暴落する

中国が先週、国内で営利目的の学習塾運営を禁止する規制を突然発表。その発表を受けて中国の教育企業の株が23日に70％も大暴落した。中国はこのように突然規制がかけられ、株価が暴落することがありうる。

少子化解消のために規制

　中国政府が先週後半になって、国内に存在する学習塾全てに対し、営利目的で運営することを禁止する規制を発表した。今後は非営利団体として経営を続けていかなくてはならないとのことだ。

　このような措置を突然発表したのは、中国でも少子化問題が深刻になっているためだ。中国は人口抑制のために1979年から「一人っ子政策」を実施していたが、最近は少子化が進んでいるために2014年に廃止し2人目の出産が認められた。そしてさらに今年になって3人目も認められたものの、少子化には歯止めがかかっていない。

　そのため中国政府はさらなる少子化対策として、現在子育てをする両親の負担となっている学習塾費用を軽減することを考えた。学習塾を営利企業ではなく非営利にすれば塾費用の負担が軽くなると判断し、営利目的の学習塾や民間教育サービスを禁止することを発表した。

　しかし当然ながら、このような措置が発表されたら学習塾業界への影響は甚大となる。中国で学習塾やオンライン教育サービスを提供しているTALエデュケーション・グループ（銘柄コード：TAL）という企業があり、NY株式市場に上場している。

　TALの株は先週22日の終値が20.52ドルだった。しかし先週終盤になって中国政府による学習塾非営利団体化の報道が流れたため、23日の株式市場でTALの株は70％も大暴落。終値は前日終値の3分の1未満である6ドルだった。

　アメリカの株式市場は日本と違って値幅制限がないため、下がる時は1日で半分以下にもなるし、逆に上がる時は1日で数倍になる。

　中国企業はこのように突然の規制発表で乱高下する可能性があるものと考えておいた方がいい。日本やアメリカなどの民主主義国なら、これほど業界に影響が大きい規制が突然発表されることはありえない。

　規制を制定するにしても、「政府（議員）が法案を提案する」→「法案が議会に提出される」→「議会を通過して成立する」→「施行される」というプロセスを経て行われる。アメリカは大統領令という大統領の一存で決まるものもあるが、これは例外的でそこまで経済に大きな影響が出るようなものは出せない。

　だが中国の場合は政府の一存であっさり決まる規制が多い。この規制の数日後となる26日には、今度はフードデリバリー業界を規制する案を発表し、香港株式市場では関連銘柄が下落した。

　中国株に投資をすると、このような突然の規制で株価が乱高下するリスクがつきものだと考えておいた方がいい。