仮想通貨市場は多くの困難にも屈さず

前回の仮想通貨市場高騰が終わった2022年以降、仮想通貨市場はテラショックやFTXの破綻など多くの困難に直面した。しかしそれらを全て乗り越え、現在はビットコインが1,000万円を超えて史上最高値を更新し続けている。もはや仮想通貨の発展・普及を止めることは誰にもできないと思われる。

一時は「仮想通貨の冬」とも

　2024年明け以降仮想通貨市場が高騰しており、ビットコインは一時1,090万円をつけた。前回仮想通貨市場が高騰したのは2021年だが、この時の高値は780万円だったのでそれを遥かに超えている。もちろん現在は円安になっており円建ての価格が伸びやすいという要因はあるが、ビットコインに限れば米ドル建てでも2021年の高値を更新した。

　振り返ってみると、2021年の仮想通貨高が終わりバブルが弾けた後、仮想通貨業界は多くの困難に直面してきた。

　2022年5月には、ステーブルコインのテラ（UST）の米ドルとの連動が破綻。それと同時に同名の仮想通貨テラ（LUNA）がほぼ無価値になり、仮想通貨市場全体が暴落するテラショックがあった。

　さらに2022年11月には、当時世界最大級の仮想通貨取引所だったFTXが破綻した。この破綻も仮想通貨市場を暴落させ、1年間に2度の暴落材料が出た仮想通貨業界では「仮想通貨の時代は終わった」などという声も出ていた。また市場が低迷していた2022～23年は、仮想通貨関連のメディアで「仮想通貨の冬」という言葉を頻繁に見かけた。

　2023年になると米証券当局であるSEC（証券取引委員会）が、コインベースやバイナンスなど国内外の大手仮想通貨企業を次々提訴してきた。11月にはバイナンスはそれまで違法行為で捜査を受けていた米当局と和解し、巨額の罰金を支払うことで合意。さらにジャオ・チャンポンCEOも引責辞任して、アメリカからは完全撤退することに決まった。

　FTX破綻後のバイナンスは世界最大の仮想通貨取引所と言ってもいい存在だったのだが、それがアメリカでの今後の事業がほぼ不可能になったことは仮想通貨業界全体にとっても大きな打撃になると思われた。

　しかし仮想通貨市場は意外な材料をきっかけにして復活した。昨年6月頃からアメリカでビットコインETFが複数申請されてきたが、10月頃になるとそれらが承認される見通しが高まった。

　ビットコインETFの承認見通しを受けてビットコインが高騰。そして今年の1月11日にはついに承認されて、その後は他の仮想通貨も高騰して仮想通貨市場は2017年と21年に続く3度目の大きな上昇トレンドとなった。

　アメリカではSECが仮想通貨市場に対する締め付けを強化しようとしており、中国では数年前から仮想通貨が規制されている。米中という世界の2大経済大国が規制し、さらに2022～23年にいろいろ困難があったにも関わらず仮想通貨の勢いは止まっていない。仮想通貨の発展と普及を止めることはもはや誰にでもできないであろう。