IEOが上場わずか数分前に延期の珍事

日本のIEOで5例目となるエルフトークンは、延期を経て27日正午にようやく上場されるはずだった。ところがそのわずか数分前となる午前11時55分頃に、突然再度の延期を発表する珍事となった。

発注できない不具合が発生

　企業がトークンを発行して、取引所を通して不特定多数の投資家に販売して資金を調達するIEO（Initial Exchange Offering）は、海外ではすでにかなり広く行われている。しかし日本ではこれまで4例が完了したのみで、ようやく5例目が進行しているところだった。

　5例目となるIEOはエルフトークン（ELF）というトークンで、2月26日にサービス開始のWeb3ゲーム「THE LAND エルフの森」で主に使われる。そしてIEOを担当する取引所はbitFlyer（ビットフライヤー）だった。なおエルフトークン募集についての詳細はこちらの記事にある。

　エルフトークンの募集は2月20日に終わり、21日には少なくとも一部の申込者に対して抽選と付与が行われた。その後比較的早い時期に上場日が発表され上場も行われる予定だったものの、21日に「協議中の事項があることから」という理由で延期が発表された。

　この発表後1ヶ月以上bitFlyerから何も続報がなく、エルフトークンの募集に申し込んだ投資家はかなり不安な日々を過ごしていたと思われる。しかし今月26日になりようやく「27日の正午頃に上場」と発表された。

　1ヶ月以上待たされてようやく上場になったので投資家としては安堵したところだが、27日の上場時にまたトラブルが発生した。

　まず午前11時半から板寄せが行われたのだが、その時点でPCやAndroidスマホからは発注できたが、iPhoneやiPadからは発注できない不具合が発生していた。そして取引開始時刻の正午からわずか数分前の11時55分になり、「システムの不具合が確認された」ことを理由に再度の上場延期が発表された。ここで言うシステムの不具合とは、iOS上から発注ができない現象だと説明されていた。

　延期はされたが変更後の上場の日程についてはまだ説明はされていない。国内IEO5例目となるエルフトークンは、上場のわずか数分前に突然延期が発表され、予定されていた時刻での上場が中止されるという前代未聞の事態となった。

　余談ではあるが11時半から板寄せが行われ買いと売り気配が表示されていたものの、売り買いが一致していた価格は販売価格の12.5円を大幅に下回っていた。実際に上場されなかったので仮定の話でしかないが、されていたとしても上場初値時点で募集価格割れの可能性はかなり高かったと推定される。

　それにしても1ヶ月以上待たされた末に再度延期となったエルフトークンの投資家の心労はかなりのものだ。国内では5例目だがbitFlyerとしては初のIEOとなったこのトークンだが、最初からかなり酷い事態になってしまった。