1％を超えそうな日本の長期金利

日本の長期金利が4月になってまた上昇しており、今週には一時0.9％に接近した。日銀は3月に長期金利の誘導目標レンジ政策を終了しており、このまま行くと約11年ぶりの1％超えが見られるかもしれない。

住宅ローン固定金利に影響

　最初に簡単に説明しておくと、長期金利とは10年物国債の利回りのこと。国債には株式市場と同様リアルタイムに売買される国債市場がある。そして国債市場における国債の価格と利回りは反対に動く性質がある。

　国債が買われて価格が上がると利回りは下がり、逆に売られて価格が下がると利回りは上がる。2年物、5年物などの国債利回りは短期金利と言われ、10年物国債の利回りが長期金利と言われる。

　長期金利はいろいろな要因によって変動するが、インフレや政策金利によって決まる割合が大きい。日本の長期金利はインフレ率と政策金利が高かった1980年頃には8％を超えたこともあったが、その後は下がり続け異次元緩和の始まった2013年頃には1％になった。

　そして2016年には日銀が前代未聞の長期金利の誘導目標レンジ政策、別名イールドカーブ・コントロール（YCC）政策を開始。当初は設定レンジが0％±0.1％と狭かったこともあり、その後数年間長期金利はほぼ0％付近に留まり続けた。

　流れが変わったのは2022年で、この頃から世界的なインフレになり各国中銀はインフレ抑制のためにハイペースな利上げを開始。そのため日本の長期金利にも上昇圧力がかかり、当時の上限である0.25％付近に張り付く日々が続いた。

　そして2022年12月にはレンジを0％±0.25％から±0.5％に拡大し、23年7月には±1％、同年10月には上限について「1％をメド」とどんどんと拡大。今年3月19日にはついにYCC政策そのものを終了と発表した。

　長期金利は昨年7月の上限1％への変更後上昇が続き、11月初頭には0.9％を超えた。だがこの頃からアメリカの利上げが終了との見通しが高まり下げに転じ、年末年始には0.5％台まで下がってきた。

　今年になって米利下げ開始時期の見通しはどんどん遅れているため、長期金利は再度上昇が続き今週には0.9％に接近した。このまま上昇が続けば、2013年頃以来の1％もありえる。

　長期金利の上昇は住宅ローンの固定金利に影響する。長期固定金利の住宅ローンである「フラット35」の21～35年ローン金利は、長期金利が－0.2％未満になった2019年9～10月には1.11％だった。

　しかしその後は長期金利とともにフラット35の金利も上昇を続け、昨年11月時点には1.96％にまで上がっている。今年4月は1.82％だが、今月は長期金利が上昇しているため5月の金利はもっと上がる可能性が高い。

　長期金利高はそれ以外にも政府の国債利払いが増えるなどの影響が出る。すでにYCC政策は終了となっているため、1％を超えてさらに上がるシナリオもありえる。