政府内に早期解散総選挙論が広まる

　2012年12月の発足から最近まで安定していた安倍政権だが、内閣改造以来閣僚の不祥事が相次いでいる。そして改造前は考えられなかったことだが、最近になって早期の衆議院解散総選挙の声までも出始めた。

年末解散説も浮上

すでに多くの人がご存じだと思うが、安倍総理が内閣を改造してから、新閣僚の不祥事が続出している。小渕優子経済産業相は政治資金に不適切な処理があったため辞任。松島みどり法相はうちわ配布問題で辞任。そして小渕経産相の後任となった宮沢洋一経済産業相は、SMバー問題などで大騒ぎになっている。

これまで目立った不祥事のなかった安倍内閣だが、ここに来て続く不祥事のために支持率も急減している。そこで出てきた解散総選挙論。これはなぜかというと、安倍内閣の今後が不透明になってきたため、むしろ早期にやった方が自民党が多く勝てるという見通しが出てきているためだ。安倍内閣発足からすでに2年近く経過しているため、時期的にも早すぎる解散ではない。

ただし名目的には、「消費税増税も含めた経済政策の是非を問う」とされることが考えられる。政府は年末に消費税の10％への増税を判断する予定だったが、最近の経済指標の低調さから考えると、無条件で引き上げはやりにくい。それをやると国民の猛反発を食らうからだ。

そこで消費税増税の判断を保留にして、一旦解散総選挙をして国民の判断を仰ぐと発表する。総選挙で自民党が勝てば、国民に支持されているものとして、増税がやりやすくなる。

現在円安が進行しているが、解散総選挙があったら安倍政権が始めた政策である「アベノミクス」はどうなるのか？アベノミクスは、安倍政権が続くという前提で進められるものだった。安倍政権がなくなれば、その名前自体も適切でなくなる。

解散総選挙で自民党が負けたら、政権が変わるのでアベノミクスは終了となる。ただし安倍総理と一緒に金融緩和を進めてきた日銀の黒田総裁はまだ任期が残るので、その場合黒田総裁は次の一手をどうするかが注目される。

しかし現実問題として現在の野党の支持率を見る限り、政権交代が起こる可能性は低い。となると自民党政権が存続し、アベノミクスも継続となる可能性の方が高い。ただ自民党が議席を減らしたら、政権の基盤は弱くなるだろう。自民党は来年9月に総裁選があり、国会の総選挙で議席を減らしたら、それが原因で総裁選で安倍総理が敗れることも考えられる。

自民党の総裁が交代したら、その場合もアベノミクスは一旦終了となる。次期総裁が安倍路線を踏襲する可能性もあるが、それも時間の問題でいずれは終わるだろう。その言葉が生まれてから2年近く経った「アベノミクス」も、そろそろ転換点に差し掛かっている。