高市政権が終われば円高・株安もありえる

高市政権が成立してから2ヶ月が経ったが、支持率は70～80％の非常に高い水準に留まっている。この状況では現実的にはありえないとはいえ、将来高市政権が終わるようなことがあれば、政権成立時と逆に円高・株安が進行することは十分考えられる。

当面は選挙もないが……

　日本で初めての女性総理による政権として話題になった高市政権が10月に成立してから、早くも2ヶ月が過ぎた。

　高市政権は成立当時には約70％の高い支持率を見せていたが、通常政権成立直後はご祝儀的に高い支持率を記録することが多い。しかし政権成立から2ヶ月経ってもまだ70～80の高い支持率を維持しており、これはご祝儀ではない。

　この状況では近い将来に高市政権が終わることはまず考えられず、今後1年は続くだろうと考えられる。だがあくまで仮定の話として高市政権が終了したら、金融市場は成立時と逆の動きをすることが予想できる。

　高市総理は就任以前から自分が総理になったら積極財政政策を進めると述べ、かつ日銀の利上げに反対していた。そのため10月上旬に自民党総裁に就任すると直後から円安・株高となり、特に10月の株式市場は空前の暴騰相場となった。

　その後総理に就任したが、就任前の言葉通り積極財政政策を実施。一方で円安が進行したために日銀の金融政策については姿勢を転換して利上げを容認した。高市総理が自民党総裁になって以降の円安・株高はこのような姿勢が背景にあるので、政権が終了したらそれが逆流して円高・株安になることが考えられる。

　とはいえ近い将来に政権が終わることは考えられず、近い将来に選挙の予定もない。今年夏に参院選が行われたばかりなので、次の参院選は2028年夏までない。また衆議院については2024年10月に総選挙が行われたが、高市総裁は近い将来の解散はないと明言しておりこちらも当面選挙はないだろう。

　高市総理と自民党は必ずしも現政権前から述べていた言葉を実施していないのだが、それでも支持率は非常に高い。例えば政権成立前は減税を行うという話もあったが、それはすでにほぼなくなった。また国民全員に一律で2万円の給付金を配布するという話もあったが、そちらも棚上げとなった。

　一方石破政権で不評だった政策は継続して実施している。石破政権が発表した健康保険の高額療養費の上限引き上げは非常に批判が強く、一時棚上げとされた。そして高市政権になったが、引き上げ率を削減したとはいえ再度実施しようとしている。

　維新と連立を組む条件だった議員の定数削減も実施できる見通しがないまま今年が終わる。このように必ずしも国民に寄り添った政策ばかりではない高市政権の支持率がなぜ高いのか、自民党内でも不思議に思っているという話も出ている。

　支持率が高く近い将来に選挙がないので政権はまだ当分続くと思われるが、いずれ終わりがきたら成立時とは逆に円高・株安になることもありえる。