高市政権が成立してから日本の10年物国債利回り、つまり長期金利は上昇が続いている。そして4日には2007年以来18年ぶりに1.94%をつけ、大台の2%に接近した。今後は日銀の利上げや高市政権の財政支出拡大政策が続くため、長期金利は上昇の継続が予想される。
最初に簡単に説明しておくと、長期金利とは10年物国債の利回りのこと。国債には株式市場と同様リアルタイムに売買される国債市場がある。そして国債市場における国債の価格と利回りは反対に動く性質がある。
国債が買われて価格が上がると利回りは下がり、逆に売られて価格が下がると利回りは上がる。2年物、5年物などの国債利回りは短期金利と言われ、10年物国債の利回りが長期金利と言われる。また30年物や40年物など償還期間が超長期にわたる国債もあり、それらの利回りは超長期金利と言われる。
2016年に日銀が世界で異例とも言える長期金利の誘導目標レンジ政策、いわゆるイールドカーブ・コントロール政策を開始したため、その後数年は長期金利が0%付近に留まっていた。
しかし2021年頃からの世界的な長期金利の上昇傾向を受けて日本の長期金利も上昇し、2024年3月には政策を終了。そしてその後も上昇が続いてきた。
今年10月に高市政権が成立し、今後財政支出を増やす政策を打ち出していることで長期金利にはさらなる上昇圧力がかかった。財政支出を増やすと円の希釈化や財政破綻の懸念が高まるため、日本国債が売られて金利が上昇しやすくなる。
10月21日に高市政権が成立した時点では1.65%だった長期金利はその後約1ヶ月半で急上昇して今週4日には1.94%をつけた。これは2007年夏以来18年ぶりの高水準であり、大台の2%が見えてきている。
また超長期金利である30年物と40年物国債の利回りは、4日のそれぞれ3.35%と3.6%付近まで上昇。こちらも過去15年に一度もつけたことのない水準になった。
だが長期金利の上昇はまだまだ終わらず、今後も継続すると予想される。それは日銀が利上げを行うと予想されているためだ。日銀は今月19日の会合後に0.25%の利上げを発表すると見られており、それでも物価高が止まらないなら来年以降も追加利上げを行う可能性がある。それだけではなく、高市政権が積極財政政策を続けていけばそれも金利上昇圧力になる。
これから長期金利や超長期金利はまだまだ上がると思われるが、そうなるとまず長期金利に連動している住宅ローンの固定金利が上がる。そして住宅ローンの変動金利は日銀の政策金利に連動しているので、利上げが行われればそちらも上がる。
国債金利が上がると国債価格が下がることを意味するので、国債を持っている金融機関の含み損が増える。含み損が小さい額のうちはよいが、簿価の50%を超えると減損処理をしなくてはならず財務諸表に反映される。
このように長期金利の上昇は影響が大きいのだが、日銀の利上げと高市政権の積極財政によって今後も上昇していくだろ。当面は2%をいつ超えるかが焦点になる。
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