金銀が最高値を更新しても出遅れるプラチナ

金価格は2024年明けから今年にかけて高騰しており、2年間史上最高値の更新が続いてきた。また銀価格も最近になって最高値を更新しているのに対し、本来は金銀より価値があるはずのプラチナはまだ最高値更新が見られない。プラチナにはその名にふさわしい上昇を期待したい。

2008年の高値をまだ更新できず

　すでにメディアでも広く報じられているが、最近は金価格が高騰している。NY金は2011年夏に米国債格下げによる不安拡大を受け、1,900ドル台まで上昇して最高値を更新。しかしその後、2010年代はずっと最高値更新がなかった。

　2020年代に入り、2020～23年の4年間は3回ほど2,000ドルをわずかに超えたことがあった。この3回は最高値であったが、2011年の水準から大幅な更新ではなかった。

　ところが2024年が明けた頃から金価格の快進撃が始まる。きっかけは米FRBが利下げに傾いたこととも言われるが、それだけとは考えられない。2010年代、FRBは金利を低水準に抑えていたが金価格は大きく上がらなかった。

　しかし2024年はかつてないほど急上昇し、10月には2,790ドルをつけてこの年を2,620ドルで終了。2025年になると前年以上に暴騰し、12月には4,200ドルを超えて2011年や2020～23年の最高値の2倍を超えた。

　メディアは金価格のみを取り上げることが多いが、最近になって銀価格も最高値を更新した。NY銀は2011年春に50ドル近くまで上昇して当時の最高値をつけた後、10年以上最高値更新がなかった。

　2024年になると金価格の上昇につられて銀も上昇したが、金ほどの勢いはなく最高値更新は見られなかった。だが今年の10月になってようやく2011年の最高値を更新し、その後も上昇の勢いは止まらず最近になって史上初めて60ドルを突破した。

　このように金と銀はどちらも最高値更新が続き快進撃を見せている。ではもう1つの貴金属銘柄であるプラチナ（白金）はどうなっているのだろうか？

　NYプラチナは金銀が上昇していた2024年になってもほとんど動かず、900～1,000ドル付近でこう着していた。今年5月になってようやくレンジをブレークして、最近では1,600ドルを超えている。しかしプラチナは2008年に2,000ドルの最高値をつけており、今になっても最高値を更新できていない。

　本来プラチナは金や銀より価値のある金属だった。メンバーシップなどでは大抵高いランクから「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」と順になっており、一般的にプラチナは金より高い価値があると見られている。

　だが現在の貴金属市場を見る限りプラチナには勢いがない。単純な価格では金が4,200ドル、プラチナが1,600ドル、銀が62ドルとまだ金＞プラチナ＞銀となっており少なくとも銀よりは遥かに高いが、銀と違ってプラチナは最高値を更新できていない。

　かつては先物市場でも金より高かったプラチナは、すっかり金に追い抜かれてしまった。プラチナはその名にふさわしい輝きを取り戻せる日が来るのだろうか？