来年日経は60,000円を突破できるか？

2025年も間もなく終わるが、振り返って見ると今年は東京株式市場にとって空前の株高の年だった。日経225平均は去年の最高値である42,426円を大きく超え、史上初めて50,000円を突破した。このペースが来年も続けば、日経225平均は60,000円を超えることになる。

ポイントは日米の金融政策か

　2025年もあと1ヶ月足らずで終わるが、振り返って見ると今年は東京株式市場にとって空前の上昇の年だった。年初にはアメリカでトランプ政権の成立を控えており、トランプ政権の政策は先が見えないとの懸念から株式市場も大きく上昇できないのではないかとの予想もあった。しかし現実は逆であった。

　日経225平均の2024年の終値は39,894円であり、年明けからしばらくの間は、トランプ政権の政策懸念から株式市場は軟調な動きが続いた。さらに4月上旬にトランプ大統領が世界各国に対する相互関税を発表すると、世界的な景気後退懸念が高まり日経225平均は一時30,000円近くまで暴落した。

　しかし暴落を見てトランプ大統領は方針を変え、関税の大半を90日間停止と発表。そしてここから今年の東証暴騰相場が始まり、日経225平均は猛烈に上昇して夏には昨年の高値を突破した。

　さらに10月には現職の高市総理が自民党総裁に就任した。高市総理は以前から自分が総理になったら財政支出を拡大すると述べており、さらに日銀の利上げに反対していたため総裁就任直後から急激な円安が進行。

　円安は日本株にとって買い材料となり東証は暴騰し、日経225平均は11月4日に52,636円の最高値をつけ、昨年の最高値である42,426円を実に10,000円以上も更新している。

　来年もこのようなペースの上昇が続けば、日経225平均は60,000円を超える。しかし実際にそこまで上昇できる可能性はどのくらいあるだろうか？

　ここで1つ注目したい材料は、円安の進行を受けて高市総理も日銀も利上げの方向に向かっている点だ。植田総裁は12月1日の講演で、19日の会合において利上げを検討する可能性が高いと示唆した。また高市総理も利上げ容認に傾いている。

　そして円安を止めるために、日銀は来年も利上げを続けるとの予想が高い。利上げは株売り材料となり、利上げによって円高になればそれもまた株売り材料となる。したがって日銀が利上げをする方針である以上、来年が今年の一時期のような暴騰相場が続くとは限らない。

　またトランプ大統領は以前から利下げをしないパウエル議長に不満を表明しており、最近になって来年5月からの次期議長候補としてハセット氏を公の場で紹介した。このままハセット氏が次期議長になる可能性は高く、そうなるとFRBは利下げを継続し為替は円高に動きやすくなる。

　来年は今年に比べて為替が円高に動きやすくなる材料が多く、そうなると日本株は下がりやすくなる。来年日経225平均が60,000円を達成するためには、今年の高市政権成立のような大きな材料が必要なのではないか。