日銀利上げと米利下げを織り込んでも止まらない円安

米は今週のFOMCで利下げを発表することがほぼ確実視されており、また日銀も来週の会合後に利上げを発表すると見られている。市場はこれらの金融政策変更を織り込んでいるはずだが、それでも9日に為替レートは1ドル＝156円80銭をつけて円安が止まる気配がない。円安を止めるためには日銀はさらなる利上げが要求されることになる。

ユーロ/円は最高値更新

　今週から来週にかけて年末の政策金利発表ラッシュとなり、主要国と新興国を合わせて約12ヶ国・地域が政策金利を発表する。

　そして日米の発表はその中でも日本にとって最も影響が大きい。今週の11日木曜未明には米FOMCが発表を予定しており、0.25％の利下げが発表され政策金利が3.5～3.75％にされることが確実視されている。一方来週の19日金曜に発表される日本の政策金利は0.25％の利上げとなる見通しが高まっている。

　為替市場はすでにこれらの金融政策変更を織り込み済と見られる。高市総理は以前から利上げに反対しており、かつ積極財政派のために自民党総裁就任後に円が急落。総裁選出前の10月初頭には1ドル＝147円台だったレートは、11月21日までに10円円安になって157円台になった。

　しかしその後は日銀が12月に利上げをするとの観測が高まった。またFOMCの12月利下げは以前から予想されていたが、それに加えて12月になるとFRBの次期議長候補として利下げ派のハセット氏がトランプ大統領によって公の場で紹介された。紹介されたことでハセット氏が次期議長になる見通しが高まり、市場は来年5月以降FRBが利下げを継続することを織り込み始めた。

　これらの材料のため11月末から12月初頭にかけて円安は進行しなかった。しかし今週になって米長期金利の上昇などを材料にまた円安に動き、9日夜には一時156円80銭をつけた。

　予想通りFRBが今週利下げを行い、来週日銀が利上げを発表すれば日米の政策金利の差は2.75～3％となる。2023年後半～24年前半頃には5％も差があったので、かなり縮小した。

　だがそれでも為替レートはほとんど円高に動いておらず、まだ1ドル＝156円台にある。もはや12月の米利下げと日銀利上げだけでは円安を止めることはできず、止めるためには来年以降さらなる利上げが求められる。

　円安は対米ドルだけではない。ユーロ圏のECBはすでに政策金利を2.15％まで下げており日銀との金利差は2％未満になっているが、ユーロ/円は12月9日に1ユーロ＝182円10銭を超えて最高値を更新した。

　円安を止めなければ日本国内の物価高は今後も続くと予想されているため、日本は円安を止めるためにあらゆる政策を実施しないといけない。しかし今月の利上げでも円安が止められないなら、来年以降利上げを継続していくしかないだろう。