今週の金融市場の動き総括、12月1～5日

来週から再来週にかけて各国は年末の政策金利発表ラッシュに入る。今週は政策金利発表ラッシュ前とはいえ多くの経済指標が発表され、高市政権の政策への懸念と期待もあって東京株式市場は引き続きボラティリティの高い相場となった。

週明けには日銀植田総裁が利上げを示唆

　今年も最後の月になった。来週から再来週にかけて日米など多数の国が政策金利を発表する、年末の政策金利発表ラッシュになる。しかし今週は政策金利発表ラッシュ前に一息つく週となり、重要な材料は比較的少なかった。

　そのような状況の中発表された今週の主な経済指標を見ると、2日火曜にはユーロ圏の11月消費者物価指数が発表され、予想の前年同月比＋2.1％に対し発表は＋2.2％だった。翌3日水曜にはオーストラリアの第3四半期GDPが発表され、予想の前年同月比2.2％増を下回る2.1％増だった。

　同じ3日にはアメリカの11月ADP雇用統計が発表され予想の前月比1万人増に反して3万2000人減と減少していた。5日金曜にはユーロ圏の第3四半期GDP確定値が発表され、予想通り前年同月比1.4％増だった。そして同日夜にはアメリカの9月個人消費のPCEデフレーターが発表され、予想通りの前年同月比＋2.8％だった。

　政策金利はポーランドとインドが発表した。3日に発表されたポーランドの政策金利は、予想通り0.25％の利下げで4％とされた。5日に発表されたインドの政策金利は、同じく予想通り0.25％の利下げで5.25％とされた。

　そして今週最初の日である1日月曜に日銀の植田総裁が講演を行い、その場で今月19日の会合で利上げを検討している明確なメッセージが出された。

　10月に高市総理が自民党総裁になって以降急激な円安が進行してきた為替市場だが、植田総裁の発言を受け今週は円高に動いた。週明け1日朝時点では1ドル＝156円だった米ドル/円は、植田総裁の発言を材料にこの日に154円台まで円高が進行。

　翌2日には反発して一旦156円まで戻ったものの、その後にトランプ大統領が次期FRB議長候補として利下げ派のハセット氏を公の場で紹介したことが米ドル売り材料となった。円高・米ドル売り材料が両方出たことで3日以降も円高に動き、5日には一時154円30円台をつけた。

　今週のNY株式市場は目立った材料がなく方向感に欠ける展開が続き、ダウ工業平均は1日に427ドル下落し、2日に小幅反発した後3日には408ドル上昇。そして残り2日間も大きく動かず、週足では238ドル高だった。

　日銀の利上げ観測や来年以降のFRBによる利下げ継続観測を受け、東京株式市場は先週までに引き続きボラティリティの高い週となった。週明け1日の日経225平均は一時1,000円以上下落した後950円安で終了。2日はあまり動かなかったものの、3日には場中に一時50,000円を回復した末に561円高で終了。そして4日は1,164円上昇し、5日は537円安と連日激しく上下した末に週足では238円高だった。

　すでに述べたように来週は年末の政策金利発表ラッシュでアメリカやカナダなどが発表を予定しており、特に日本時間11日木曜未明に発表されるアメリカの政策金利は注目度が高い。金利はほぼ利下げが確実と予想されているものの、同時に発表される声明やパウエル議長の会見でどのような内容が出てくるかが注目される。