テスラは2期連続の減収減益で株価も下落

23日のNY株式市場終了後にテスラが第2四半期の決算を発表。イーロン・マスクCEOの政治活動によるイメージ低下が響き、前期に続き2期連続の減収減益で販売台数も減少という結果だった。この決算を受けて、時間外のNY株式市場で同社の株は下落している。

前期も減収減益だった

　23日のNY株式市場終了後（日本時間24日早朝）に、テスラ（銘柄コード：TSLA）が第2四半期（4～6月期）の決算を発表した。

　その内容によると、売上高は前年同期の255億ドル（現在のレートで約3兆7200億円、以下同じ）より12％減の225億ドル（約3兆2800億円）で、市場予想の227億ドル（約3兆3100億円）を下回った。

　純利益は前年同期の14億ドル（約2,040億円）から16％減の11億7000万ドル（約1,700億円）。EPS（1株あたりの利益）は0.33ドルだった。

しかしこれらの数字は、アメリカの正式な会計基準に基づいたGAAPベースの利益額。テスラを含めた一部の米企業はGAAPベースの他に、非公式なnon-GAAPベースの数字も公表している。

　non-GAAPベースでのテスラの今期の純利益は、前年同期の18億1000万ドル（約2,640億円）から23％減の13億9000億円（約2,030億円）、EPSは0.4ドルで市場予想の0.44ドルを下回った。

　そしてテスラにとって重要な販売台数は、前年同期の44万3956台より13％減の38万4122台だった。

　テスラは前期も減収減益でかつ販売台数も減少しており、これで2期連続の減収減益かつ販売台数減となる。前々期である2024年第4四半期（10～12月期）まではこのような決算ではなかったのだが、前期から今期にかけ業績が悪化した大きな理由の1つにイーロン・マスクCEOの政治活動がある。

　昨年の大統領選時からマスク氏はトランプ大統領を熱心に応援しており、当選して大統領に就任した後は新機関の政府効率化省（DOGE）の指揮を任された。

　しかしここでマスク氏は強引に他の多くの省庁を閉鎖し多くの人員を解雇したことで、アメリカ国内で強い反発を呼んだ。さらに国外でも欧州の極右政党への支持を表明したことなどが反発を呼び、その結果国内外でテスラ車や関連施設への破壊発動が拡大。そしてテスラの不買運動も広がった。

　結果的に本業のテスラへの悪影響が大きくなったまま、マスク氏は5月末頃に米政府の仕事から退任した。しかしその後も独自の政党「アメリカ党」を立ち上げると発表するなど、別の形での政治活動を始めたので、今後もその影響がテスラの業績に及ぶ可能性がある。

　低調な決算を受けて、発表後の時間外NY株式市場でテスラ株は下落。23日を332.56ドルで終えた同社の株だが、発表後は約6％安い310ドル付近で推移している。

　ようやく米政府の仕事からは手を引いたとはいえ、それまでの数ヶ月で悪化したテスラとマスク氏のイメージを回復するのは容易ではない。EV分野での競争が激化する中、テスラは成長の勢いを取り戻すことができるだろうか。