Netflixが今年2度目の決算発表後大暴落

オンライン映像配信のNetflixが19日に1～3月期決算を発表。増収減益だったが有料会員数が過去10年で初めて減少に転じた。この発表を受けて20日のNY株式市場で同社の株は35％も大暴落。1月の昨年10～12月期決算発表直後に続く今年2回目の大暴落だった。

来期はさらに会員数減予想

　米オンライン映像配信のNetflix（銘柄コード：NFLX）が、19日のNY株式市場終了後（日本時間20日早朝）に1～3月期の決算を発表した。

　その内容によると、売上高は前年同期比10％増の78億7000万ドル（約1兆円）、純利益は同6％減の16億ドル（約2,050億円）。そしてEPS（1株あたりの利益）は3.53ドルだった。

　増収だった点は良いのだが、注目されたのは有料会員数。3月末時点の世界全体における有料会員数は2億2164万人で、昨年12月末時点の2億2184万人より20万人減少していた。Netflixの有料会員数が減少したのは2011年秋以来10年半ぶりとなる。

　Netflixの説明によると、会員数の減少はロシアで事業を停止したために同国での会員数70万人が減少したことが大きいという。ロシアの影響を除けば50万人の増加だった。地域別ではアジア太平洋地域は110万人近く増加したものの、北米、EMEA（欧州、中東、アフリカ）、ラテンアメリカの3地域は全て減少で、減少数は3地域合わせて130万人近くになった。

　さらに来期4～6月期の見通しでは、有料会員数が200万人減と今期以上の減少予想だった。今期の会員減と来期の悪い見通しを受け、20日のNY株式市場では同社の株が暴落。19日を348.61ドルで終えたNetflix株は序盤から暴落して始まり、一時は前日比40％近く安い212.51ドルまで下落。終値は35％安の226.19ドルだった。

　Netflixの決算内容が悪く株価が暴落したのはこれで今年になって2度目。1月20日の昨年10～12月期の決算発表後は、前日終値の508.25ドルから387.50ドルまで22％の暴落だった。

　1月の暴落は有料会員数が前期比828万人増で前期（7～9月期）より鈍化したことと、2021年通年の会員増加数が約1,800万人で前年より半減していたことが要因だった。

　しかしNetflixの今後の見通しは厳しい。Netflixは減少要因についてロシアの70万人減に加え、複数の家庭でアカウントを共有するケースが増えていることを指摘していた。また競合他社が台頭してきていることや、パンデミックに伴う巣ごもり特需が終了に向かっていることなども逆風になっている。

　株価は前回の暴落前の1月19日の508ドルから4月20日の終値は226ドルと2回の暴落で半値未満になった。時価総額の方も1月19日の終値時点では2,250億ドルだったが、4月20日の終値時点では1,000億ドル（約12兆8000億円）にまで下がった。

　Netflix株の20日の暴落を受け、米富豪のウィリアム・アックマン氏は自身が運営するファンドが保有していたNetflix株310万株を全て売却。約4億3500万ドル（約555億円）もの損失を確定した。

　この損失額と株数から計算すると1株あたりの損失は約140ドルになるので、1月の暴落後に反発を狙って買ったと見られる。このようにNetflix株の2回の暴落で損失を出した投資家は相当数いる。

　しかしすでに述べたような競合の台頭、アカウント共有のまん延、巣ごもり特需の終了などの要因を考えると、今後のNetflix株のパフォーマンスも厳しくなると思われる。