IEO9例目のファンプラは初日に大幅下落

国内のIEO9例目となるファンプラが、11日正午にコインチェックに上場された。このIEOは1枚あたり1円で売り出されていたが、開始後1時間以内に半額の0.5円まで暴落。その後も夜までずっと0.4～0.6円のレンジに留まる低調なスタートとなった。

目標額の9倍が集まったが……

　企業が独自のトークンを発行して取引所を通して不特定多数の投資家に販売、それによって資金を調達するIEO（Initial Exchange Offering）は、世界では多数が行われてきたが日本は最近までわずか8例のみだった。

　さらに今年になってからは最近まで1つのIEOも実施されていなかったのだが、11日正午にようやく今年初めて、日本国内では9例目となるファンプラ（FPL）がコインチェックで上場された。

　このトークンを発行しているのは株式会社Fanplaで、Web3.0の技術を利用してアーティストとファンが共に音楽を創造できるプラットフォームを目指しているという。FPLは最大発行枚数が100億枚に設定されており、今回のIEOで売り出されたのはその10％にあたる10億枚。売り出し価格は1枚あたり1円だった。

　IEOの申し込み開始は10月21日で、2日後の23日には目標額の10億円を突破したことが発表された。そして11月4日に申し込み期間が終了した時点では90億6000万円分と、目標金額の約9倍の申し込みが集まっていた。

　そして11日正午に上場されたが、上場直後のごく一瞬だけ売り出し価格の1円を超えて1.5円近くまで上昇。だがその水準に留まっていたのは短い時間のみで、その後は大きく下落してわずか1時間後には半額の0.5円未満まで暴落。その後は大きな反発もなく、夜まで0.4～0.6円のレンジを中心とした上下が続いている。

　今回のFPLはコインチェックとしては4つ目のIEOになるが、これまで3つのIEOは全て売り出し期間終了時点での抽選倍率、つまり目標金額に対して集まった資金の倍率が約20倍であった。今回の9倍はコインチェックのこれまで3例に比べると少ない。

　今年になってからこれが日本で初めてのIEOであったが、最近IEOが行われていないのは直近の数例が低調だったこともあるかもしれない。昨年末に上場された国内8例目のJOCトークン（JOC）は、売り出し価格が30円であったが30円を超えたのは上場直後のみ。最近では15円付近で推移している。

　昨年6月に上場した国内で6例目、コインチェックとしては3つ目のブリリアントトークン（BRIL）は売り出し価格が21.6円であったが、最近の価格は約10分の1の2円付近と無残なものだ。

　全体的に見てここ最近の日本のIEOは低調な値動きが続いている。2024～25年にかけて仮想通貨市場が好調にも関わらずこの程度の動きしかできないなら、今後は国内IEOへの投資は慎重になった方がいいだろう。