FRBによる来年の利下げ予想は「1回」

11日の午前4時に米FOMCが政策金利を発表。今回は大方の予想通り3回連続の0.25％利下げが発表され、政策金利は3.5～3.75％とされた。そして参加者による将来の金利予想では、来年の利下げ回数は「1回」と見る者が最も多かった。

27年も1回、28年はなし

　2日間のFOMCを終え、11日の午前4時にアメリカの政策金利が発表された。FRBは直近の9月と10月に0.25％ずつの利下げを発表してきており、今回も大方の予想通り3回連続の利下げで政策金利は3.5～3.75％とされた。

　そして今回は、年4回の参加者による将来の金利予想を図にした「ドットチャート」の公表が行われた。これは参加者19名が、2026年末、27年末、28年末、そして長期時点の金利水準を予想し、それをチャート上に点（ドット）として表示したもの。

　今回のドットチャートでは、2026年末時点の中央値、つまり上と下からそれぞれ10人目の予想は3.375％、言い換えると3.25～3.5％であった。今回利下げをした水準からわずか0.25％下であり、参加者による来年の予想利下げ回数の中央値は「1回」であることを意味する。

　ただし今回の予想にはかなりバラつきがあった。参加者のうち3名は来年末時点の金利を3.875％と予想しており、これは来年中に利下げではなく利上げが1回行われると予想していることを意味する。また1名だけは来年6回分、つまり1.5％もの大幅利下げが行われ年末時点で2.125％になると予想していた。

　2027年末時点の予想を見ると、中央値は3.125％、言い換えると3～3.25％であった。これは2026年末時点より0.25％だけ低く、2027年中の利下げ予想の中央値もまた「1回」であることを意味する。

　2028年末時点の予想金利中央値は27年末時点と同じであり、このチャートから参加者による予想の中央値は2028年中には利下げなしとなった。なお長期の金利水準予想の中央値は「3％」であった。

　同時に発表された声明では米経済について「緩やかなペースで拡大している」と述べていた。また利下げを含む今後の金融政策については「データやリスクバランスなどを慎重に評価して決定する」と慎重な姿勢を示す文言が含まれていた。

　発表後午前4時半からはパウエル議長の会見が行われた。会見の中で議長はインフレについて「依然としてやや高い水準にある」と発言していた。また今後の利下げについては「会合ごとに決定する」と述べて現時点での明言を避けた。

　政策金利発表前は1ドル＝156円40銭付近だった米ドル/円だが、発表後は一瞬だけ20～30銭米ドル安に動いたもののすぐに元の水準に戻った。そしてパウエル議長の会見が始まると一瞬だけ米ドル高に動いたが、その後は大きく円高・米ドル安に動き156円を割って155円台に。その後もしばらく円高は続き正午前には155円50銭をつけた。

　来年5月にパウエル議長の任期が終わり、次期議長は利下げ派のハセット氏が濃厚と見られている。しかし今回の参加者の利下げ予想回数がわずか「1回」であるため、ハセット氏が次期議長になっても大幅追加利下げは難しいかもしれない。