BTC担保の借り入れを発表したメタプラネット

ビットコイン購入を基幹事業として今年前半には株価が急騰したメタプラネットだが、6月後半以降株価が低迷している。そしてビットコイン購入事業もやや行き詰まりが見える中、4日には手持ちのビットコインを担保とする借り入れを発表したが5日の同社の株は反発できなかった。

1億ドルを借り入れ

　メタプラネット（銘柄コード：3350）は今年前半の東証で最も話題になった株式銘柄の1つだった。1999年創業の同社はもともとはホテル事業を行う企業だったが、2024年からビットコイン購入・保有を基幹事業にすると発表。

　これが投資家によって好感され、昨年後半から今年前半にかけて同社の株は暴騰。2023年当時は10円台で低迷していたメタプラネット株は、今年の6月19日には最高値の1,930円をつけた。だがそこで上昇は止まりその後は低迷し、11月になった最近では400円台で推移している。

　6月後半以降の株価不振の大きな原因の1つになったのは、6月に発表した21万枚ビットコイン購入計画で大量の新株予約権を発行したことだ。購入の資金源として、ファンドのEVO FUNDに対して5億5500万株もの新株予約権を付与することを決定。しかしEVO FUNDは6月末に行使が可能になるとすぐに大量行使を始めたため、EVO FUNDのからの売り警戒が高まりその後株価は低迷することとなった。

　そして今週4日になって、メタプラネットは保有するビットコインを担保とした1億ドル（約154億円）の借り入れを行うことを発表した。借入先は非公開としているが、米ドル建てであることから海外の企業であると推定できる。

　仮想通貨を担保とした借り入れは、仮想通貨の価値が下がると担保価値も下がってしまうリスクがある。だが今回の借り入れについては「現在約35億ドル相当のビットコインを保有しているため担保余力は十分ある」と述べていた。

　確かに、借入額が1億ドルで保有するビットコインが35億ドルなら担保価値としては十分で、今後ビットコインが現時点の半分や3分の1の価値になっても十分返済に充てられる。

　借り入れた1億ドルはビットコインの追加購入、ビットコインインカム事業（ビットコインオプションの購入など）、そして自社株買いなどに利用されるとのことだった。しかしこのような借り入れでビットコイン購入事業を上手く運営できるだろうか？

　例えば借り入れた額でビットコインを購入したとしたら、返済するための現金はどこからか調達してこなければならない。そこで借り入れを行ったらまさに自転車操業になる。また購入したビットコインを借り入れの返済に充てるようでは、ビットコイン購入事業を行っている意味がない。

　6月に発表した新株予約権発行によるビットコイン事業は、株価が低迷しているため9月の1ヶ月間と10月後半～11月前半の2回にかけ、予約権行使の停止を行ってきた。それでも株価は回復しないため、11月後半になって停止が解かれてもまだ現在の行使価格で行使して売却できる見通しはない。

　いわば新株予約権によるビットコイン購入事業は行き詰まりかけており、その打開策として借り入れを行った。このような措置で事態を打開できるかどうかはわからない。