29日の日経大幅高はほぼ1つの銘柄のため

著者鳥羽賢

2025年10月29日

今週になってからの株高地合は29日になっても変わらず、日経225平均は1,000円以上上昇して51,000円を突破。またも史上最高値を大幅に更新した。しかしこの日の大幅高は、日経225種の銘柄のうちわずか1つの暴騰によるものだった。

前日のIRが買い材料に

　先週に高市総理が就任し、また週末には米中が閣僚級会談において貿易問題で合意したことで、今週の東京株式市場は暴騰相場となっている。

　日経225平均は週明け27日に暴騰して史上初めて50,000円を超えた。翌28日は300円ほど下げて50,219円で終了したものの、29日になると再度暴騰相場となり1,088円高の51,307円で終了。50,000円を超えてからわずか2日で51,000円をつけた。

　1,088円高は素晴らしい上昇だが、このうち1,077円はたった1つの銘柄によって押し上げられていたと言われる。その銘柄とは、半導体装置メーカーのアドバンテスト（銘柄コード：6857）だ。

　アドバンテスト株は28日を18,120円で終えていたが、前日の東証終了後に発表したIR情報が投資家にとって歓迎すべきものであったことに加え、前日のNY株式市場でエヌビディア（銘柄コード：NVDA）など半導体関連株が上昇したことも買い材料となった。

　29日の東証が始まるとアドバンテスト株は前場から上昇し、後場はほぼストップ高の22,120円に張り付いたまま終了。この日は22％高、金額にして4,000円高であった。

　ここまで株価を押し上げた前日のアドバンテストのIR情報は以下のようなものだった。まずは2026年3月期の業績見通しの情報修正。売上高見通しはそれまでの8,350億円から9,500億円に、営業利益見通しはそれまでの3,000億円から3,740億円に、そして純利益見通しはそれまでの2,215億円から2,750億円に引き上げられた。

　また次回の配当は1株あたり29円とされ、前期の19円から大幅な増配となった。さらに最大1,500億円の自社株買いも発表した。

　これだけの好材料が含まれるIRを発表したことで29日のアドバンテスト株はストップ高となり、それが1社だけで日経225平均を1,000円以上押し上げた。

　しかし一般的に日経225平均への寄与度が最も高いのはアドバンテストではない。寄与度が最も高い企業としては、ユニクロことファーストリテイリング（銘柄コード：9983）、ファナック（銘柄コード：6954）、そしてソフトバンクグループ（銘柄コード：9984）などがある。

　以前からこれらの寄与度は高く、これらの株価が上下することによって日経225平均が大きく動くことが指摘されていた。逆に寄与度が低い銘柄の動きはあまり影響がない。

　29日はアドバンテスト1社で日経225平均1,088円のうち1,077円を押し上げた。このような点が日経225平均の問題点だと以前から言われているが、すぐに改善することは難しく今後も特定の銘柄の動きで指数が大きく動く点は変わらないだろう。

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