高値更新が止まったメタプラネット株

今年になってから最も話題になっている銘柄の1つであるメタプラネット株だが、6月19日を最後にその後1ヶ月近く高値更新が止まっている。これは大量の新株予約権を発行したことで市場に大量の売りに対する警戒感が高まっていることが、上値を抑える原因になっていると思われる。

すでに14％分を行使

　2025年の日本の株式市場で最も話題になっている銘柄の1つが、メタプラネット（銘柄コード：3350）だ。

　メタプラネットは1999年に創業され、当初から最近まではずっとホテル事業を主に行ってきた。しかし2024年4月からビットコインの購入を開始し、12月にはビットコインの購入・保有を「ビットコイントレジャリー事業」と称して基幹事業にすることを決定した。

　この方向転換が成功して、メタプラネットの株価は暴騰。同社の株は2023年当時はまだ10円台で低迷していたものの、ビットコイン買いを開始した2024年4月頃から上昇し、今年4月末時点では380円となった。そして5月から6月前半にかけて急上昇して、6月19日の高値は1,930円と4月末時点の約5倍だった。

　しかし6月25日には場中に一時20％も下げる暴落を見せ、その後も高値更新がないまま7月15日の終値は1,436円だった。この水準は6月19日の高値から25％も低い。

　メタプラネット株がこのようにさえない動きになった原因の1つに、「555ミリオン計画」によって発行された大量の新株予約権が、すでに数多く行使されたことがあると見られる。

　555ミリオン計画とはメタプラネットが6月5日に発表したビットコイン購入計画で、5億5500万株の新株予約権を発行し、その資金を元にビットコイン発行総量の1％に該当する21万枚の購入を目指す計画だった。この計画に市場は沸き、6月前半の株価暴騰の一因となった。

　ところが6月25日になって、新株予約権を購入していたEVO FUNDが、権利行使日初日の24日に早くも5,400万株分もの権利を行使したと発表された。この日の場中の20％暴落はこの発表が大きな要因になったと思われる。

　その後しばらくさえない動きが続いた後7月15日は8％安だったが、この日には、7月前半だけで2,610万株、開始日から合わせて8,010万株の予約権がすでに行使されたと発表された。

　権利行使開始日からまだ1ヶ月経っていないに関わらず、すでに14％の新株予約権が行使された。そして行使された分はEVO FUNDが保有し売ってくる可能性があるので、その売りを警戒して投資家は以前ほど思い切って買えなくなってきている。

　すでに14％が行使されたとはいえ新株予約権はまだ4億5000株分以上あるので、市場にはそれだけの潜在的な売り圧力が残る。5億5000万株全て行使済と発表されるまで、メタプラネットの再度の暴騰は難しいかもしれない。ただし、全て行使されたらメタプラネットはまた新たな新株予約権を発行してくる可能性が残る。