米のメキシコへの関税は日系自動車メーカーにも悪影響

米のメキシコへの関税は日系自動車メーカーにも悪影響

著者 鳥羽賢
2019年06月4日

トランプ大統領が先週31日に、「メキシコが不法移民対策を取らないなら、メキシコからの製品に5%の関税をかける」と発言した。本当に関税がかけられたとしたら、日系の自動車メーカーにも悪影響が出ることになる。

メキシコで生産する企業が多い

中国や他国に対してアグレッシブに貿易戦争を仕掛ける米トランプ大統領だが、今度はメキシコにも追加関税の話を突きつけた。ただしその目的は貿易赤字の解消などではなく、アメリカと長い国境線を共有するメキシコからの不法移民の流れを止めるためにある。


日本時間で先週の31日金曜早朝に、トランプ大統領は「メキシコが不法移民対策を取らないなら、6月10日からメキシコ製品に対して5%の追加関税をかける。対策を取らない状態が続けば、税率は7月から5%ずつ上がり、10月には25%になる」と発言した。


最終的には25%もの関税がかけられるという話になった。そしてこの政策はアメリカ企業にも影響が大きいが、日系の自動車メーカーにも大きく影響する。というのも、日系の自動車メーカーはメキシコで自動車を生産し、アメリカで売っているケースが多いからだ。


このようなビジネスにしているのは、もともとNAFTA(北米自由貿易協定)があったためにアメリカ・メキシコ間には関税がないこと。そしてメキシコはアメリカより人件費が安いため、メキシコを生産拠点にしてアメリカやカナダまで運んで売ることで収益を高めることができた。


ところがトランプ大統領はNAFTAが気にいらず、大統領になるとメキシコとカナダに再交渉を迫り、昨年USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)という新しい協定を締結した。そして今度は、移民問題でメキシコに関税をかけると述べている。


実際トランプ大統領がこの発言を行った31日の東京株式市場では、主要自動車メーカーの株が軒並み下げた。トヨタ自動車(銘柄コード:7203)は、前日比2.9%安の6,384円で終了。日産自動車(銘柄コード:7201)は、5.3%安の734円で終了。三菱自動車(銘柄コード:7211)は前日比3.9%安の512円で終了。いすゞ自動車(銘柄コード:7202)は前日比4.9%安の1,200円で終了だった。


31日はトランプ大統領の発言によって東京株式市場全体が軟調だった。しかし日経225平均はこの日1.6%安だったので、自動車メーカーの株の下落率は軒並みそれよりも大きい。


現在アメリカとメキシコはこの問題の解決のために協議を続けている。10日までに合意できれば良いのだが、合意できないなら10日から予定通り関税がかけられる。そしてその後は7月から引き上げられ、10月には25%になる。


だがアメリカとメキシコが合意できる可能性は高くない。トランプ大統領が就任して以来、両国は移民問題で常に摩擦を抱えてきた。トランプ大統領は選挙戦期間中から「メキシコとの国境に壁を建設し、メキシコに費用を払わせる」と発言してきたが、もちろんメキシコはそのような話は断固拒否している。


トランプ大統領はメキシコからの不法移民の流れを止めようとしているが、メキシコ側としては止めるための有効な手段がないのが現実。だから話はいつもまとまらず、平行線が続いている。そして今回の協議も、合意に至らずに終わる可能性が高い。

 

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