株価で明暗分かれたビットコイン購入企業

ビットコイン購入を基幹事業としているメタプラネットの株は15日に大きく下がり、約3ヶ月ぶりの安値をつけた。一方同じくビットコイン購入事業を行っているコンヴァノの株は15日にストップ高をつけ、明暗が分かれた。

コンヴァノはストップ高

　今年に入ってからビットコインはじめ仮想通貨が堅調な動きを続けているため、仮想通貨購入を事業として始める企業が増えている。中には本業をほぼ放棄して仮想通貨購入を基幹事業とした企業もあり、そのような方向転換が本当に長期的に持続できるものかどうか注目されている。

　東証スタンダードに上場しているメタプラネット（銘柄コード：3350）は、現在日本で最も多くビットコインを購入・保有している企業だ。もともとはホテル業を行っていたが、昨年4月からビットコイン購入事業を開始。今年になってからは購入量を大きく増やしている。

　ビットコイン購入事業によって株価も大きく上がり、2023年当時は10円台だった株価は今年6月19日には1,930円をつけた。

　しかしそこが当面の天井となり、その後現在まで2ヶ月間は高値更新がない。そして今週15日になると前場から売りが多く入り、この日は8.7％安の866円で終了した。この水準は5月23日以来約3ヶ月ぶりの安値水準となった。

　メタプラネットは13日に2025年12月期の中間決算を発表。ビットコインの含み益を利益として計上したことで、純利益は激増し売上高の約10倍にもなるという異例の内容だった。しかしこの決算発表直後の14日の東証ではメタプラネット株は5％近く下げ、そして15日も大幅続落した。

　15日の下げは、14日発表のIR情報に起因すると思われる。メタプラネットは6月に555ミリオン計画を発表。これは5億5500万株の新株予約権を発行して調達した資金で、ビットコイン総発行量の1％にあたる21万枚を買う計画だった。

　だが新株予約権を引き受けたEVO FUNDは行使が可能になるとすぐに行使を始め、14日発表のIR情報では8月8～13日の3営業日だけで1,800万株分も行使していた。13日までですでに1億株以上を行使したが、総数が5億5500万株だけにまだ4億株以上ある。

　メタプラネットは9月1日に株主総会を開く予定だが、このまま行けばかなり荒れた総会になると予想される。

　一方ネイルサロン「FASTNAIL」を経営するコンヴァノ（銘柄コード：6574）も、最近ビットコイン購入事業を始めた企業の1つ。そしてコンヴァノは14日に2026年3月期の業績見通し上方修正を発表。売上高見通しはそれまでの71億6000万円から84億6000万円に、純利益見通しはそれまでの9億9400万円から19億8500万円に上方修正された。

　市場はこの修正を好感し、14日を1,347円で終えていた同社の株は15日の東証でストップ高の1,647円まで高騰した。

　同じビットコイン購入事業を行っているこれらの2社だが、株価は明暗が分かれてきている。メタプラネットの方は5億株以上の新株予約権からの売りを警戒し、6月19日以降高値更新がない。

　一方世界で最も多くのビットコインを購入しているアメリカのマイクロストラテジー（銘柄コード：MSTR）も、昨年11月の米大統領選直後の高値を9ヶ月更新できておらず、今年に入って株価は停滞気味だ。

　ビットコイン購入企業もその株価の動きはかなりまちまちで、必ずしも株高になるとは言えなくなってきているようだ。