未だに謎のサトシ・ナカモトの正体

昨年末から再度の仮想通貨ブームとなり、もはや仮想通貨を無視できる者は誰もいなくなった。これほど世界を変えた仮想通貨を最初に考案したのはサトシ・ナカモトと名乗る人物だったのだが、その正体は今でも謎に包まれている。

論文発表などの後姿を消す

　昨年末から仮想通貨がまた高騰しており、2017～18年に続く2度目の仮想通貨ブームとなった。しかし今回はすでに多くの法人が仮想通貨に投資し、また仮想通貨の関連サービスを開始すると発表した企業も多い。もはや仮想通貨を無視できる者はおらず、仮想通貨は金融の世界で不動の地位を築いた。

　しかしこれほどまでに金融の世界を変えた仮想通貨だが、それが誰の手でどのようにして生まれたのか、未だに謎の部分が多い。世界最古の仮想通貨はビットコインであり、ビットコインは2008年に生まれ翌09年から流通が始まったとされる。

　そして2008年当時ビットコインの開発を主導していた人物として「サトシ・ナカモト」という人物がいた。いたと言ってもサトシ・ナカモトの顔やプロフィールを知っている者はおらず、彼はネット上などでビットコインに関する論文を発表したり、関連ソフトを提供したりマイニングなどを行ったりしていた。

　だが数年経ってビットコインが軌道に乗ると、サトシ・ナカモトは姿を消してその後の消息はわからなくなった。ビットコイン誕生から10年以上経った現在になっても、その正体は謎のままだ。

　サトシ・ナカモトの正体についてはいろいろ研究があるが、まずその名前から日本人ではないかと言われる。ビットコインの開発を行っていた2010年頃、サトシ・ナカモトは自分で「日本に住んでいて、年齢は37歳」と発言していた。

　確かに日本人の名前で日本に住んでいると発言したとして、それが本当なら日本人である可能性は高い。しかし名前はネット上の発言で確認が取れていない。またサトシ・ナカモトは英語で論文などを発表するほど英語に堪能であり、その点から日本人であることを疑う人々もいる。

　サトシ・ナカモトではないかと見られていた人物に、カリフォルニア州出身のハル・フィニーというアメリカ人男性がいる。この男性はサトシ・ナカモトとともにビットコインの初期の開発に携わっており、「世界で初めてビットコインをサトシ・ナカモトから受け取った」人物とされていた。しかしフィニー氏がサトシ・ナカモトかどうか明確な証拠がないまま、2014年に死亡してしまった。

　またカリフォルニア州に住む「ドリアン・サトシ・ナカモト」という日系アメリカ人がサトシ・ナカモトではないかと見られたこともあった。名前で言えばかなり近く、また彼は娘に「自分がビットコインを開発した」ことを示唆する話をしたこともあったという。しかし公の場では自分がサトシ・ナカモトであることを否定しており、娘への話以外に明確な証拠も出てきていない。

　結局サトシ・ナカモトの正体はまだ謎のままだ。そしてフィニー氏のようにすでに死亡している可能性もあるし、時間が経てば正体がわからないままひっそりと死亡することになる。世界の金融を大きく変えた人物が何者なのかわからず、サトシ・ナカモトの将来は今後世界の大きなミステリーとして残るかもしれない。