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昨年ほどの仮想通貨高騰はもう難しいかもしれない

user 著者 鳥羽賢
calendar 2022年9月7日

2021年は株だけではなく仮想通貨市場も高騰し、2017年に続く2回目の世界的仮想通貨ブームとなった。しかし昨年は世界各国が膨大な緩和をしているという特殊な状況だったからこその仮想通貨高騰であり、今後同じような相場を期待してもかなり厳しいかもしれない。

昨年の状況は特殊だった

 2021年は金融市場にとって歴史的な1年だった。2020年春のパンデミック開始を受けて各国は膨大な規模の金融緩和を開始し、溢れるマネーによって株式市場は2020年後半から21年にかけて暴騰。「コロナバブル」とも言われるようになった。

 膨大な緩和マネーは仮想通貨市場にも流れ込み、仮想通貨は2017年に続く2回目の世界的ブームになった。そして2回目は1回目より遥かに高いところまで仮想通貨価格が高騰した。

 ビットコインは1回目のブーム時の天井は230万円だったが、2回目の2021年11月には780万円と1回目の天井の3倍以上の高値をつけた。イーサリアムのように同様に2回目は1回目以上に高騰した通貨もあるし、バイナンスコインやカルダノのように1回目当時はほとんど流通していなかったが2回目には台頭してきた通貨もある。

 しかし2022年になって世界各国が緩和を止めて引き締めに転換すると、仮想通貨市場のバブルは一気に崩壊した。3月以降は急激な円安になっているので、円建てで見るとまだ下落率は小さい。

だが米ドル建てで各通貨のレートを見ると円建てで見るよりもっと下がっている。ビットコインは9月になって19,000ドルを割って18,000ドル台になったが、これは今年の最安値だ。一方円建てでは6月に230万円台まで下がったが、9月7日現在ではまだ270万円と6月の安値を下回っていない。

 今後3回目の仮想通貨ブームは来るだろうか?もちろん「来ない」と言い切ることはできないので、来る可能性は少なからずある。ただし3回目が来ても、2回目を超えるような水準まで各通貨が上がるとは限らない。

 2回目は世界的な金融緩和という特殊な状況の下で起こったブームであった。今後も同様の状況にならない限り、あそこまで仮想通貨が高騰するとは考えにくい。そして2020~21年の緩和はパンデミックというこれも特殊な事情のために行われた政策で、今後同じ政策が行われるとは限らない。

 何よりも各国はすでに「緩和をやり過ぎると結局はセオリー通りにインフレになる」と学んだ。今後は過剰な緩和に対して慎重になると思われ、2020~21年のような極端な緩和は簡単に決めないだろう。

 仮想通貨も株と同じように、長期的に見れば少しずつ上昇していくかもしれない。仮想通貨が生まれてまだ十数年なので長期的なデータはないが、その可能性はある。しかし2021年ほどの極端な高騰は、同じ世界的な緩和という状況にならない限り難しいのではないか。

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