日銀が金融政策のほぼ現状維持を決定

日銀が18日の正午前に金融政策を発表。細かい変更はあったものの、一部で予想されていた長期金利の誘導目標レンジの再拡大など大きな変更はないほぼ現状維持だった。また3ヶ月に一度の「経済・物価情勢の展望（展望レポート）」も公表された。

レンジ上限は0.5％のまま

　2日間の金融政策決定会合を終え、18日の正午前に日銀が金融政策を発表。今回は予想通り政策金利や異次元緩和政策の国債・ETF購入部分は変更がなかった。そして日銀の当座預金にかけられる0.1％のマイナス金利政策もそのままだった。

　一方今回は長期金利の誘導目標レンジが再拡大されるのではないかという見通しが一部で出ていた。日銀は12月20日にそれまでの0％±0.25％から±0.5％へとレンジを拡大したばかり。

　しかし日本の長期金利は上昇し、1月に入ってから新上限の0.5％に張り付く日が続いてきた。そのため18日の発表で再度拡大するという見通しもあったが、発表されたのは現状維持だった。

　今回発表された中での唯一の変更としては、「共通担保資金供給オペ」の拡充がある。これは金融機関に対して資金を供給するためのオペで、2022年までは2週間などの短期で貸し出すオペだったが今年に入ってから2年の期間も行われている。

　また今回は3ヶ月に1回の「経済・物価情勢の展望（展望レポート）」も発表された。その中では2022年度の成長率見通しが前回・10月時点の2.0％から1.9％に下方修正。2023年度の見通しも同じく前回の1.9％から1.7％に下方修正され、2024年度見通しは1.5％から1.1％へと0.4ポイントも下方修正された。

　一方インフレ率見通しは2022年度見通しが前回・10月時点の2.9％から3.0％へと上方修正。2023年度見通しは1.6％のまま変更がなく、2024年度見通しは前回の1.6％から1.8％へと上方修正された。

　一部で長期金利誘導目標レンジの再拡大が予想されていたにも関わらずそれがなかったことで、発表後は金融市場が大きく変動。為替市場では発表前に1ドル＝128円台半ばだったレートが発表直後に2円ほど急騰。その後も円安・米ドル高は続き、午後0時半頃には131円台をつけた。

　さらなる引き締めがなかったことで株式市場では買い安心感が拡大した。発表直前は26,200円台だった日経225先物は、発表直後に500円以上急騰。日経225平均の方も後場が始まると前場終了時点から400～500円高い水準をつけた。

　また渦中の国債市場では、発表前まで0.5％付近に張り付いていた長期金利が発表後に低下し、一時は0.36％になった。長期金利は6日頃から0.5％付近に張り付き下がらなかったものの、それは日銀がレンジを再拡大するという見通しに基づいた動きと見られる。18日に再拡大が発表されなかったことで長期金利は低下した。

　今回は長期金利誘導目標レンジの再拡大はなかったが、世界的な金利上昇傾向が続く限り次回以降の会合で再拡大が発表される可能性は残る。