大阪堂島商品取引所を総合取引所にと提言

国内で唯一独立した商品先物取引所として残っている大阪堂島商品取引所では、今年になって経営建て直しのために経営改革協議会が開かれた。そしてその最終提言案で、今後「総合取引所」を目指す方針が提言された。

計7回の会合後に提言

　商品先物取引所はかつて日本に複数存在していたものの、ここ数十年は統廃合が続き現在では2ヶ所しかなくなった。1つは原油などエネルギー銘柄を扱っている東京商品取引所。ただしこちらはすでに、日本取引所グループの子会社となっている。

　もう1つは主にコメ銘柄を扱う大阪堂島商品取引所（以下、「堂島」）。こちらはどこの傘下にも入っておらず、現在国内で唯一の独立した商品先物取引所として残っている。そして金などの貴金属銘柄やとうもろこしなどの穀物銘柄は、すでに日本取引所グループ内の大阪取引所で主に取引されている。

　現在の商品先物業界を取り巻く状況は厳しい。というのも商品先物業界は過去に電話などで強引な勧誘を繰り返したため、すっかりイメージが悪くなり顧客離れが進んだからだ。

　2000年代に存在していた取引所として、名古屋にあった中部商品取引所と大阪にあった大阪商品取引所がある。しかしこれらは2007年に合併し中部大阪商品取引所となった。だがそれでも取引は伸びず、2011年をもって解散した。穀物銘柄を取り扱っていた東京穀物商品取引所は、2013年に解散して銘柄は東京商品取引所と堂島に移管された。

　そして堂島も取引はかなりの不振が続いている。現在上場している銘柄は、コメが数種類ととうもろこしや大豆など穀物。しかしとうもろこしや大豆は大阪取引所でも上場されており、堂島の方では出来高がほとんどない。

　コメ先物だけは出来高があるが、コメは2011年から試験上場として取引されているだけで、正式な上場ですらない。試験上場のまま2年の期限ごとに延長を繰り返している。

　このような状況なので経営建て直しの必要があり、今年になってから経営改革協議会という会合を開催し、有識者を集めて今後の方針が議論されてきた。3月の中間議長報告では、投資家だけではなく農家などコメ生産者も先物取引に参加してもらうためにアピールを続ける方針などが提言された。

　6月30日までに計7回の会合が開かれ、10月8日になって最終提言案が明らかになった。それによると、今後はコメ先物以外の銘柄を上場させ、さらにコメの現物取引もできる総合取引所を目指すという。

　目標ができたことは良いが、現状を顧みると実現はそう簡単ではない。しかし国内唯一の独立した商品取引所としての堂島の奮起に期待しよう。