借金をしてBTCを買い続ける日本の上場企業

著者鳥羽賢

2025年3月19日

ビットコインは2月から低調な動きが続いているが、現在でも社債を発行して調達した資金でビットコイン買いを続ける日本の上場企業がある。このような購入は、今後ビットコイン価格が下がると含み損になり行き詰まるのではないかとの懸念も生む。

ビットコインを基幹事業に

　メタプラネット（銘柄コード：3350）という東証スタンダードに上場している企業がある。この企業は1999年に設立され、2004年には当時の店頭市場に上場に成功。その後複数の事業を行ってきたが、最近ではホテル業がメインであった。

　この企業は2024年4月からビットコイン（BTC）の購入を始め、12月18日にはビットコインの購入・保有を「ビットコイントレジャリー事業」と称して、同社の基幹事業に置いた。

　メタプラネットの現在のビットコイン保有量は3,000枚強。1枚あたり1,250万円として計算すると時価総額は約380億円になり、現在は「日本で最も多くビットコインを保有する企業」であると同時に、世界のビットコイン保有企業ランキングでも10位になった。

　メタプラネットは3月18日に20億円分の無利息普通社債の発行を決定。この社債によって調達された資金は、また新たなビットコイン購入に使われるという。同社は2025年末までにビットコイン保有数を1万枚、26年末までに2万1000枚とする計画を発表している。

　社債を発行ということはつまり借金をしてビットコインを買う行為になる。今回の社債については無利息であり、かつ償還日は今年の9月17日と比較的早い。また新株予約券の行使によって調達した資金を償還に充てると予告されている。そのため比較的リスクは低いと言える。

　とはいえメタプラネットは昨年4月からビットコインを買い始めたため、平均取得単価はかなり高い。また昨年の米大統領選までに購入したのは約1,000枚で、残りの2,000枚強は大統領選後に価格が上昇してから購入した分だ。現在発表されているところによると平均取得単価は約1,260万円となっている。

　今後ビットコインが下落すれば、同社の財務に悪影響が出るのではないか。そして日本企業としてはメタプラネットが最大のビットコイン保有量だが、世界にはビットコインをさらに多く購入している企業がある。

　世界最大のビットコイン保有企業・マイクロストラテジー（銘柄コード：MSTR）は、すでに50万枚近くのビットコインを持っており1枚あたり1,250万円とすると6兆円以上にもなる。そして昨年の米大統領選後に価格が高騰してからもずっと買い続けており、社債を発行した資金での購入も多い。

　ビットコイン価格の上昇が続く限り続けていられるかもしれないが、価格が下落に転じればこのような社債を発行してビットコインを買い続ける仕組みは破綻しかねない。2009年の流通開始以来これまで15年以上にわたり上昇が続いてきたビットコインだが、今後も上がり続けることはできるのだろうか？

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