仮想通貨市場は今後復活できるのか

2月22日のBybitハッキング事件以降、仮想通貨市場の売り材料が続出してほとんどの通貨が数十％暴落した。中には1月の高値から半値以下になった通貨もあり、もはやバブル崩壊と言ってもいい。仮想通貨市場はこの崩壊を乗り越えて今後復活できるのだろうか。

ソラナは1月以降58％暴落

　ここ1週間ほどで仮想通貨市場にとって売り材料となる悪い材料が複数出て、市場の地合が大きく悪化した。

　まずは2月22日に未明に公表された海外大手取引所・Bybit（バイビット）のハッキング事件。この事件の被害額は日本円で約2,200億円にものぼり、世界の仮想通貨業界で最大の流出事件となった。

　その後24～26日頃にはアメリカで昨年上場された仮想通貨ETFから膨大な資金が流出した。さらにトランプ大統領が新たな関税政策を次々発表したことも懸念を高め売り材料となった。

　これらの材料が出た結果がここ1週間で仮想通貨市場は暴落している。またつい先月である1月20日にはトランプ大統領の就任式があり、その前後に多くの仮想通貨が一時的に上昇して高値をつけた。それからわずか1ヶ月あまりで多くの仮想通貨が暴落し、中には半値以下になってしまった通貨もある。

　ビットコイン（BTC）は1月20日に1,700万円の史上最高値をつけたが、その後は高値更新がなく2月27日には1,220万円と最高値から28％下落した。イーサリアム（ETH）は昨年12月16日に63万円の史上最高値をつけた後下落し、2月27日には33万5000円と最高値から47％も暴落した。

　ソラナ（SOL）は1月19日に4万6000円の最高値をつけ、その時点から2月27日までに58％も暴落して1万9500円になった。わずか40日で58％もの暴落はバブル崩壊と言っても過言ではない。

　また仮想通貨市場全体の時価総額も12月と1月には一時600兆円ほどにまで増加したが、その後急減して2月27日には一時400兆円に接近した。わずか1ヶ月あまりで3分の1、約200兆円が失われた。

　仮想通貨市場はこれまで急上昇と急落を繰り返してきた。最初に急上昇したのは2017年後半で、この時はビットコインが230万円まで上昇したが2018年が明けると市場全体が急落した。

　2回目は2021年で、ビットコインは1回目を遥かに超える780万円まで上昇したが、2021年暮れから22年にかけて急落した。3回目は2023年暮れから24年前半で、ビットコインは1,100万円まで上昇。その後は大きく下がらないまま2024年11月の米大統領選後に4回目の急上昇となり、ビットコインは1,700万円をつけた。

　仮想通貨市場はこれまで急落しても数年後にまた上昇してきた。しかしビットコインやイーサリアムといった主要通貨は2024～25年に21年の高値を更新したものの、更新できていない通貨も多い。例えばライトコイン（LTC）は2021年に4万5000円の高値をつけたが、2024～25年にはやっとその半値の2万2000円付近まで上昇してきただけだ。

　これら通貨の成長・拡大は2021年で頭打ちになっている。このように仮想通貨といえども永遠に価格が上昇するわけではなく、今回バブルが崩壊して1ヶ月あまりで半値になったソラナを含め多くの仮想通貨、今後復活して再度高値を更新できるかどうかわからないのではないだろうか。