仮想通貨はこれからステーブルコインの時代へ

仮想通貨の世界はビットコインの一強状態にあり、ビットコインを脅かすような新しい通貨が出てくる気配はない。その一方でFacebookの「リブラ」など、法定通貨に連動したステーブルコインが台頭してきている。これからの仮想通貨はステーブルコインが伸びる時代になりそうになってきた。

既存の仮想通貨は低迷気味

仮想通貨が世界に生まれて10年ほど経ったが、2017年後半の世界的ブームで仮想通貨は一気に市民権を得た。しかしその一方で、2017年から2年経った今もブームの再燃は起こらず既存の仮想通貨が盛り上がるような話はない。

一方最近になって注目されている通貨は、法定通貨にレートを連動させたステーブルコインが多い。Facebookの「リブラ」はその典型で、今年6月にリブラが発表された時は世界の仮想通貨業界やSNS業界が驚愕した。

また各国中銀によるデジタル法定通貨のプロジェクトも進んでいる。今のところこの話を最も早く進めているのは中国で、早ければ来年にもデジタル人民元が導入されると予想されている。

今のところアメリカ、ユーロ圏、日本などではデジタル法定通貨のプロジェクトは進んでいない。しかし中国がデジタル人民元を導入しこれが成功すれば、将来的に開発・導入が考えられるかもしれない。

このように最近話題になっている仮想通貨は、ステーブルコインや法定通貨のデジタル版などレートが安定したものが多い。ではなぜビットコインのような、レートが変動する既存の仮想通貨は盛り上がっていないのか？

理由はいろいろ考えられるが、1つには既存の仮想通貨はレートの変動が激しすぎ、本来の目的であった支払いや送金などに使いにくい点がある。通貨は価値が安定していないと使いにくい。

投機目的ならいいが、投機に興味なく単に支払いや送金、あるいは価値の保存のための通貨としては非常に不便だ。結局既存の仮想通貨は支払いや送金ではなく投機のためのものとなっている。

投機目的の場合上がっていけば買う人も増えるものの、上昇が止まれば多くの人は興味を失う。「上がったり下がったり」では株や先物と大きな違いはなく、無理に仮想通貨で投機をする必要性は低い。

そして仮想通貨はすでにビットコイン一強状態になっており、他の仮想通貨が入り込む余地がほとんどない。ビットコインは2009年から他の通貨に先駆けて運用が始まり、先行者の利で決済面でも投機対象としても仮想通貨業界で圧倒的なシェアとなった。今後はよほどビットコインを超える強みのある通貨が生まれないと、ビットコインの牙城を崩すのは難しい。

したがって今後台頭してくる仮想通貨は、ビットコインと違い価値が安定しているステーブルコインになると考えられる。ステーブルコインが広まったら、世界は第2次仮想通貨ブームを見るかもしれない。