今週の金融市場の動き総括、10月11～15日

今週は米9月CPIや中国のCPI・PPIが発表され、米中のインフレ率が高まっていることが明らかになった。しかし米債務上限問題が先週で片付き、かつ中国の恒大集団問題も一旦こう着状態に陥っていることから悪材料がなく、株式市場は週を通して堅調だった。

米ドル、原油、BTCも上昇

　今週は13日水曜にアメリカの9月消費者物価指数が発表され、予想の前年同月比＋5.3％に対し発表は＋5.4％だった。また食料品などを除いたコア指数は、予想通りの前年同月比＋4.0％だった。

　14日木曜には中国の9月消費者物価指数が発表され、予想より0.2ポイント低い前年同月比＋0.7％だった。また同時に9月生産者物価指数も発表され、予想が前年同月比＋10.5％、結果は＋10.7％とかなり高い数字だった。

　13・14日に発表された米中の物価指標で、両国のインフレ傾向が高まっていることが鮮明になった。世界1位と2位の経済大国でインフレが進行すれば、間違いなく世界各国に波及していくだろう。

　それ以外の重要な指標としては、15日金曜にアメリカの9月小売売上高が発表。予想の前月比0.2％減に対し、発表は0.7％増と予想に反して増加だった。

　また今週は主要国の政策金利発表はなかった。そして先週に米債務上限問題で両党が合意して問題が片付いた。中国の恒大集団問題も今週は大きな新展開はなかった。

　債務上限問題など先週前半まで株式市場を下げていた要因が遠のいたため、今週の株式市場は全体的に堅調だった。先週は一時27,000円台前半まで下落して「岸田ショック」などとも言われた日経225平均は、今週は週を通して上昇。

　11日月曜には450円上昇。12～13日には小幅下落したものの、14日には410円、15日には518円と連日暴騰。週足では1,020円高だった。

　NY株式市場はインフレ懸念などから週前半にはダウ工業平均が3日連続下落したものの、14日には534ドル、15日には382ドル上昇。週足では548ドル高だった。

　今週は他の市場でも目立った動きがあった。為替市場では米インフレ懸念と量的緩和の縮小開始観測のため、米ドルが上昇。週開始時には112円台前半だった米ドル/円は週を通して上昇し、113円、114円と今年の最高値を連日更新。週後半につけた114円40銭台は2018年11月以来約3年ぶりとなった。

　先物市場ではエネルギー危機懸念から原油価格が上昇し、今年の最高値を更新して82ドルに到達。この水準は2014年以来7年ぶりの原油高水準となった。

　仮想通貨市場ではアメリカでビットコインETFが承認されるとの観測を背景に、ビットコインが堅調だった。11日朝時点で630万円だったビットコインは週を通して上昇し、16日土曜朝には715万円をつけて4月の史上最高値を更新した。

　来週は18日月曜に中国の第3四半期GDPが発表される。また21日木曜にはトルコの政策金利発表がある。しかし大きな材料はないため、今週の堅調な地合が来週も続く可能性は高い。