今後米では仮想通貨ETFの上場が加速

著者鳥羽賢

2025年10月5日

アトキンス新体制になったSECが、最近になって仮想通貨ETFの承認手順を迅速化した。これによって今後は仮想通貨ETFの上場が加速することが見込まれ、週末4日にはアプトス（APT）の仮想通貨のETFも申請された。

包括的上場基準を策定

　アメリカの証券当局であるSEC（証券取引委員会）は、昨年まで仮想通貨に対して厳しい姿勢のゲンスラー委員長だった。しかしトランプ大統領が就任したことでゲンスラー氏は自ら辞任し、その後委員長代行期間を経て今年春には現アトキンス委員長が就任した。

　アトキンス体制でSECは仮想通貨業界に対して好意的な機関となり、仮想通貨ETFの承認もこれまでより迅速にできる体制を整えると述べていた。

　そして最近になって、仮想通貨ETFの包括的上場基準の策定が完了した模様だ。これによって今後は各仮想通貨ETFが申請されても個別の審査が不要になり、承認が迅速化される。

　包括的上場基準では、原資産となる仮想通貨が市場間監視グループの加盟市場で取引されていることなどの条件を満たしたETFに上場が認められる。これまでは仮想通貨ETFの上場には「19b-4」という申請書と「S-1」申請書の2つを提出する必要があったが、この基準策定によって「19b-4」の方は不要になった。

　今後アメリカでは仮想通貨ETFの上場が加速することが予想される。そして今週末の4日土曜には、アプトス（APT）のETFが申請された。申請したのはこれまで多くの仮想通貨ETFを申請してきたBitwise（ビットワイズ）という企業。

　アプトスは比較的最近の2022年頃から流通が始まった仮想通貨で、メタ（旧Facebook）の社員によって設立されたAptos Labによって運営されている。

　利用されているプログラミング言語は独自言語の「Move」。そしてコンセンサスアルゴリズムに、イーサリアム（ETH）など多くの仮想通貨で利用されているPoS（プルーフ・オブ・ステーク）の他に、Aptos BFTという独自のものの2種類を採用している。

　今年10月5日時点の価格は日本円で850円程度で、時価総額は約38億ドル（約5,600億円）で仮想通貨の中で35位に位置している。日本で扱っている仮想通貨取引所は多くないが、SBI VCトレードなどいくつかの取引所が取り扱っている。

　これまでアメリカで申請されてきた仮想通貨ETFはビットコイン（BTC）やイーサリアムなど最もメジャーな通貨が多かったが、いよいよアプトスのようにやや規模の小さいものにも拡大してきた。SECが包括的上場基準を策定したため今後はさらに増え、いずれは日本の証券会社でも仮想通貨ETFを米国ETFとして取引ができるようになるかもしれない。

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