今年は6兆円買えずに終わりそうな日銀のETF買い

今年は6兆円買えずに終わりそうな日銀のETF買い

著者 鳥羽賢
2019年10月16日

日銀は黒田総裁になってから大規模なETF購入を行っており、2016年夏には金額を年間6兆円にまで増やした。2017年、18年はその目標額をほぼ達成したものの、今年はペースが遅くこのまま行くと6兆円をかなり下回って終わりそうになっている。

10月現在で4兆円ほど

2013年春に黒田総裁が就任し異次元緩和政策を開始してから、日銀はこれまでにないペースでETF買いを続けてきた。2013年4月に開始した当初は年間1兆円とされたが、2014年10月には年間3兆円まで増額。その後小さい増額を経て、2016年7月には前代未聞の年間6兆円にまで増やした。


この政策の効果もあってか、異次元緩和が始まって以来株価は確かに上昇している。日経225平均は2000年のITバブル時以来の20,000円を超えたばかりか、1980年代後半のバブル直後以来の24,000円までつけた。


株価の回復自体は悪いことではない。しかし興味深い現象として、今年は2016年に掲げた年間6兆円のETF購入額が達成できずに終わりそうになっている。この目標は、2016年は途中から変更したものなので達成できなかったが、17年と18年はほぼ達成してきた。


今年の10月中旬までの買い入れ額を見ると、平均すると月4,000億円弱買ってきている。最も多かったのは5月で7,000億円を超えているが、この月は株価がずっと下落していた。日銀は株価が下落すると下支えのためにETF買いを発動させているのは明らかだ。


その一方で9月はかなり少なく、1,600~1,700億円程度しか買わずに終わった。9月は特に前半に株価の上昇が目覚ましく、日経225平均は10日連続上昇も記録した。


日銀のETF買いを詳しく見てみよう。日銀が買うETFは3種類に分類されている。その1つ「設備投資・人材投資に積極的に取り組む企業を支援するETF」は、ほぼ毎営業日買っているが1回あたり12億円しか買わない。不動産投資信託のJ-REITは1回12億円で、かつ回数も多くない。


金額的に一番大きいのは上記以外の一般ETFで、1回購入を発動させると約700億円も買う。ただしいつ発動させるかは決まっておらず、日銀のこれまでの記録を見ると株価が下がった日に買うケースが極めて多い。


しかし今年は去年暮れほどの暴落は見られず、株価は上がる日が多かった。それでも株価自体が大きく上昇していないのは、「上がる時はゆっくり小さく、下げはドカンと大きく」という株式市場にありがちな動きが続いてきたからだ。そのため日銀のETF買いのペースは遅く、10月中旬になってようやく4兆円弱に到達したばかりだ。


このペースが続けば今年は6兆円の購入枠を使い切らずに終わる。11月、12月に暴落が起こりこの2ヶ月でそれぞれ1兆円ずつ買えば達成できるだろう。だが暴落が起こらなかったら、株価が下がらないのに無理をして買う日を増やさないと達成できない。


6兆円が達成できないこと自体には大きな問題はない。しかし6兆円ですら購入し切れないほど大きい枠なら、今後日銀が追加緩和をして購入枠を年間8兆円や10兆円にしても、枠を使い切れないだけで事実上の意味はあまりなくなる。


日銀の国債購入は、2014年10月以来年間80兆円という名目だった。だが異次元緩和開始以来日銀が国債を買い過ぎて、現在では市場に国債がなく年間30兆円程度しか買えていない。これが国債購入の限界なのだ。


そしてETFが年間6兆円の枠を使い切れずに終わるとなれば、こちらも購入の限界が見えてきている。日銀の異次元緩和政策は、いろいろな側面ですでに限界に到達してしまっているようだ。

 

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