世界の保護主義化はまだまだ続くことも

世界の保護主義化はまだまだ続くことも

著者 鳥羽賢
2019年12月10日

アメリカはトランプ政権になって中国製品に対し次々と関税をかけるだけではなく、欧州や他の地域に対しても関税措置を発表。トランプ政権以前の政策に反して保護主義化を進めてきた。そしてこの流れは今後もアメリカから他国に広がり、まだしばらく続いていくことも考えられる。

中国の他EU・南米にも関税

世界では第2次大戦後に自由貿易の流れがずっと続いてきた。しかしリーマン・ショックという経済的危機を経て、自由貿易とは反対の保護主義が少しずつ台頭してきている。


保護主義とは自国の産業育成や貿易を有利に進めるために関税や輸入制限といった障壁を課す貿易政策のことだが、トランプ政権になってからのアメリカはまさに保護主義に傾いている。


昨年から中国製品に対する追加関税を次々発表し、それに対して中国は毎回報復関税を発表。米中貿易戦争と言われるようになった。それだけではなく最近になって、同様の措置を他国や地域に対して打ち出すようになった。


今年10月にはEUからの農産物に大規模な関税をかける政策を発表した。これはEUが航空機大手のエアバスに対して不当な補助金を与えていると主張し、それに対する報復措置としての政策だった。ただしこの関税はWTO(世界貿易機関)にも支持されている。


さらに今月2日には、ブラジルとアルゼンチンから輸入される鉄鋼・アルミニウムにも追加関税を課すと発表した。これは両国が自国通貨を不当に安く抑えているためであり、かつ中国に対して大豆を輸出して米中貿易戦争において中国の手助けをしているためと述べられた。


そして同じ今月2日に、フランスに対する関税措置を検討していることも発表。こちらは以前からフランスが導入しようとしていた、デジタル課税に対する報復措置とのことだった。デジタル課税とはGoogleやFacebookなどの大手IT企業に対する課税だが、これがアメリカの大手IT企業を狙ったものであることはかなり明確であった。


トランプ政権はそれに対し、フランス製品24億ドル(約2,600億円)に対する関税を検討していると述べた。しかしフランスはそれに対してすぐに反応し、関税がかけられたらEUとして報復するとアメリカをけん制した。


アメリカはまさに四方八方と貿易面で争っている形になったが、それも超大国アメリカだからできることだ。そして将来的にはわからないにしても、現在のところアメリカは失業率が50年ぶりの低さになるなど経済はかなり好調な状態にある。


これでは保護主義政策が問題だと言ってもあまり説得力はなく、むしろアメリカのやり方を真似る国が出てくることも十分ありえる。そしてこのような流れは、来年の米大統領選でトランプ大統領が再選されず大統領交代になっても、止まらないかもしれない。


世界は1930年代の世界恐慌以後しばらく保護主義になりブロック経済化が進んだが、21世紀もリーマン・ショックという経済的危機を経て保護主義化に傾いている。これが「歴史は繰り返される」というものだろうか。

 

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