メディアが三たび「仮想通貨の冬」を使い始める

著者鳥羽賢

2025年12月8日

今年前半から10月上旬にかけて上昇してきた仮想通貨だが、10月中旬以降の2ヶ月間で地合が急速に悪化した。そして仮想通貨関連メディアは、過去に仮想通貨市場が低調な時に使っていた「仮想通貨の冬」という言葉を早くも使い始めた。

過去2回の低迷期にも使う

　今年はアメリカで仮想通貨に好意的なトランプ大統領が就任したため、仮想通貨市場にとって最高の1年になるとの期待もあった。しかしその予想は外れつつある。

　少なくとも最近まで仮想通貨市場は好調だった。昨年の終値は1,470万円だったビットコイン（BTC）は、1月のトランプ大統領の就任直後は1,700万円まで上昇したものの、その後は関税政策への懸念を受けて下落。4月上旬にトランプ大統領が相互関税を発表すると、世界的な景気後退懸念を受けて1,100万円を割った。

　だがトランプ大統領がすぐに関税の90日間停止を発表したことで、その後は大きく上昇し10月上旬には1,900万円に接近して最高値をつけた。

　ところがそこが当面の天井となり、10月中旬から現時点までの約2ヶ月間は急落。11月21日には一時1,260万円台をつけた。

　12月8日現在1,430万円付近で推移しており、この水準はすでに昨年の終値より低い。トランプ大統領の政策を受けて仮想通貨市場が高騰すると期待されていた今年だが、ビットコインは年間でマイナスになる可能性が出てきた。

　そして仮想通貨関連メディアでは、早くも「仮想通貨の冬」または「暗号資産の冬」という言葉が使われ始めている。

　メディアがこの言葉を使うのは初めてではなく、仮想通貨市場の低迷期に使うことが多かった。仮想通貨市場は2017年後半から18年前半にかけて最初の暴騰相場となったが、その後バブルが弾けたように価格が急落。市場が低迷していた2018年後半から20年前半は「仮想通貨の冬」とよく言われていた。

　2021年に再度仮想通貨市場が上昇したものの、2022年にはテラ・ショックやFTXの破綻があり市場はまた低迷。2022年から24年も同様に「仮想通貨の冬」の言葉が使われていたことが多かった。

　だがこのどちらの時期も、振り返って見ると一時的に仮想通貨市場が低迷していたが、その後また大きく上昇してビットコインは高値を大幅に更新した。2017年末ににつけた高値は230万円だったが、「仮想通貨の冬」を一度経た後の2021年には780万円まで上昇して2017年の高値の3倍となった。

　2022～24年の「仮想通貨の冬を」再度下手後の2025年には、ビットコインは1,900万円近くまで上昇して2021年の高値の2倍を超えた。このようにこれまで2度の「仮想通貨の冬」は振り返ってみると絶好の買い場だったが、今回・2025年11月以降の「仮想通貨の冬」は将来同じことが言えるだろうか？

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