メタプラネットがついに14％暴落

ビットコイン購入を基幹事業としたことで今年5月から6月前半にかけて株価が暴騰したメタプラネットだが、今週22日には14％も暴落してしまった。これで6月の高値から40％も下げたことになり、ビットコイン購入だけを材料として上げてきた株価が脆いものであることを浮き彫りにした。

EVO FUND売りへの警戒は続く

　東証スタンダードに上場しているメタプラネット（銘柄コード：3350）は、2025年になってから最も話題になっている株式銘柄の1つだ。

　メタプラネットは1999年に創業され、当初から最近まではずっとホテル事業を主に行ってきた。しかし2024年4月からビットコインの購入を開始し、12月にはビットコインの購入・保有を「ビットコイントレジャリー事業」と称して基幹事業にすることを決定した。

　この方向転換が成功して、メタプラネットの株価は暴騰。同社の株は2023年当時はまだ10円台で低迷していたものの、ビットコイン買いを開始した2024年4月頃から上昇し、今年4月末時点では380円となった。そして5月から6月前半にかけて急上昇して、6月19日の高値は1,930円と4月末時点の約5倍だった。

　6月19日の高値をつけた時点でメタプラネットのホルダーは総楽観ムードであり、「10,000円も時間の問題」などと考えていた者も多かったであろう。だが相場は予想不可能なものと言われるように、多くのホルダーの予想に反して6月19日が当面の天井となりそこから株価は下げに転じた。

　高値から1週間も経たない6月25日には、場中に一時20％近く暴落したがその後急激に反発してこの日は4％高で終了した。しかしその後もさえない動きが続き、今週22日にはついに14％も暴落して1,145円で終了。6月19日の高値から約40％もの価値を失ったことになる。

　6月中旬まで好調だったメタプラネット株が急激に勢いを失った背景には、「555ミリオン計画」の手法があると見られる。

　555ミリオン計画とはメタプラネットが6月5日に発表したビットコイン購入計画で、5億5500万株の新株予約権を発行し、その資金を元にビットコイン発行総量の1％に該当する21万枚の購入を目指す計画だった。

　この壮大な計画が5月から6月前半までのメタプラネット株高騰の一因になっていたことは確かだ。ところが6月25日になって、新株予約権を購入したEVO FUNDが、権利行使日初日である24日に早くもかなりの予約権を行使したと発表された。

　これによってEVO FUNDによる売りに対する警戒感が広まり、この日の20％近い暴落になった。またその後もEVO FUNDによる大量売りへの警戒から、6月前半までのような買いの勢いがなくなってしまった。

　さらに7月15日には、7月になってからもEVO FUNDが大量の新株予約権を行使したと発表された。この発表によって多く売りが出て、15日には8％、16日には6.5％と連日の大幅安となった。

　そして22日には新たなIR情報が発表されたが、このリリースには「14日を最後にその後EVO FUNDによる行使はない」と記載されていた。つまり15日の発表以降新たな予約権の行使はなかったのだが、それでも株価が14％も暴落した。

　もはや投資家の間でEVO FUNDによる売りへの警戒感が消えることは当面ないと思われる。ビットコイン購入を基幹事業としたことでビットコイン高の波に乗って株価を上げたまではよかったが、資金調達の手法が投資家に警戒されるようなものであったことが株価下落の大きな要因となった。ビットコイン購入のみを材料に上げてきた株価は、砂上の楼閣なのかもしれない。