ビットコインの分裂はかろうじて回避も残るリスク

筆者 鳥羽賢 |

ビットコインは8月1日に分裂の危機があったがいったん回避された。

 オンラインの仮想通貨として世界で広く普及してきたビットコインが、今年8月1日に分裂の危機を迎えていた。しかし何とかその危機が回避できそうになったのだが、まだリスクは残っている。

ビットコインの過去記事はこちら。

 

23日には一時取引停止に

 

 ビットコインはオンラインで生成される仮想通貨として2008年頃に誕生。それ以来少しずつ普及してきたが、特にここ数年世界における普及のペースが加速している。日本では2014年に当時取引所を運営していたマウントゴックスという会社が破産し、一時は普及にブレーキがかかった。しかしその後は別の企業が取引所を立ち上げ、また普及が進んでいる。

 しかしここに来てビットコインに大きな問題が浮上する。難しい専門用語は抜きにして簡単に説明すると、ビットコインの取引に使われていたシステムは比較的古く、多くの取引に対応すると遅くなるという問題があった。そしてここ数年の爆発的な普及のために、現行のシステムでは遠からず処理能力の限界に達すると見られていた。

 そこでビットコインの新システムを有志が開発していたのだが、それが1つにまとまらず2つの別のシステムがそれぞれ開発されていた。2つのシステム開発者達は自分達のシステムこそがビットコインシステムの正統な継承者であるべきだと主張していたため、ビットコインそのものが2つに分裂する危機が浮上した。

 さらに片方のシステムの関係者達が、自分達のシステムを使わない取引を8月1日以降は認めないと発表していた。そのため8月1日はビットコインが分裂する可能性のある危険日と見られていたのだ。

 このような経緯のため、ビットコインを取り扱う国内の13業者が、8月1日以降はビットコインの取引を一時停止すると発表。さらにその後7月23日に危機が前倒しされたため、ビットコインの取引停止も23日に前倒しされた。

 そして週末の23日には一部の業者で取引が停止されたのだが、実際にはそれほど大きな混乱は起こらなかった。また2つの新システムを開発していた派閥がある程度妥協し共通のシステムを開発していくことで合意できたため、懸念されていたような最悪の分裂は回避された。ビットコインの取引を停止していた13業者も、24日頃には早くも取引を再開した。

 とはいえ、これで全ての危機がなくなったわけではない。今後もまた一部の開発者が独自のシステムを開発し、自分達のシステムこそがビットコインの取引に使われるべきである、と主張する可能性は残っている。そうなるとまた分裂の危機になるだろう。

 ビットコインは単一の発行体を持たない仮想通貨だが、その構造的な欠陥がこのような分裂騒動となって表面化してきている。



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筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。