ドイツ銀行問題は欧州経済の爆弾になりえる

ドイツ銀行問題は欧州経済の爆弾になりえる

著者 鳥羽賢
2018年12月14日

イギリスのEU離脱やイタリア財政問題など問題が山積みしている欧州だが、先月末になってドイツ銀行がマネーロンダリングの疑いで家宅捜索を受けた。これによってドイツ銀行の株価は上場以来最安値まで下落し、経営危機と言える状況になっている。

株価は上場以来最安値に

最初に明確にしておきたいのは、ドイツ銀行とはドイツの民間銀行である。中央銀行は日本銀行やイングランド銀行のように国名がついているものが多く、ドイツ銀行も中央銀行と思ってしまうかもしれない。しかしドイツはユーロ圏に入っており、ECBという圏内で統一された中銀を持っている。ドイツ銀行はドイツにある民間銀行の1つなのだ。

そのドイツ銀行だが、11月29・30日にドイツの検察当局による家宅捜索を受けた。理由はドイツ銀行がマネーロンダリング(資金洗浄)に関わっていたとのこと。この疑いは2016年4月に世界の金融界を震撼させた「パナマ文書」の情報が元で浮上したと言われる。パナマ文書は今ではマスコミでもあまり報道されなくなったが、その影響はまだまだ世界に残っている。

この事件によりドイツ銀行の経営危機懸念が高まり、12月に入って株価は下落。12月14日現在で7.7ユーロ付近で推移しており、これは上場以来最安値レベルになる。ちなみに11日には7.3ユーロまで下がったが、これが上場以来最安値だった。

この株価がどれだけ低いのか見るために、過去の株価と比べてみよう。2007年頃は世界各国の株式市場がリーマンショック前のピークをつけ、ユーロ圏経済も堅調だった時期だった。この頃にはドイツ銀行の株価は90ユーロ以上もあった。

しかしその後下落が続き、リーマンショック後には15ユーロまで下がる。リーマン後に株価が回復して2007年の高値を上回った企業は世界に無数にあるが、ドイツ銀行は2007年の高値を超えることはできず、今ではリーマン時の底の半分にまで落ちてしまった。

そもそもドイツ銀行は11月末の家宅捜索以前から厳しい経営状態にあった。それはドイツ銀行がLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を不正に操作していた事件を起こしていたためだ。

この不正はドイツ銀行も罪を認めており、英米の金融当局に25億ドル(約2800億円)もの制裁金を支払った。そして不正操作によって被害を受けたと主張する世界各国の企業から訴えられたため、訴訟費用や負けた場合の賠償金などで巨額の損失を抱えることになった。

このためドイツ銀行はここ数年赤字決算であることが多く、家宅捜索以前にもすでに経営危機にあったと言ってもいい。そこでさらに追い打ちをかけるように家宅捜索になったため、ドイツ銀行はもはや破綻に向かってもおかしくない。

しかしこのような巨大金融機関の破綻は、ユーロ圏内に金融危機を起こす可能性がある。リーマンショックはリーマン・ブラザーズの破綻によって起こった。それを避けるために、ドイツ政府は別の大銀行・コメルツ銀行による吸収・合併なども含め、破綻を避けるための措置を考えている。

現在メルケル首相は今期限りで引退することを表明しており、政権の基盤は弱体化している。その状況ではドイツ銀行の救済は難しいかもしれないが、破綻したらそれはユーロ圏で爆弾が爆発するような事態になるだろう。

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