サウジアラビアが株式市場を外国人に開放

これまで外国人には開放されていなかったサウジアラビアの株式市場が、外国人に開放される見通しになってきた。アラブ世界最大の株式市場の開放は、投資家にとって選択肢の拡大を意味する。

サウジが株式市場を開放へ

　サウジアラビアはイスラムの国であり、かつその中でも相当厳格な方に属する。国内では厳格なイスラムの教義に基づいて社会が運営されており、女性は車を運転することも許されていない。そのような社会なので、欧米など外部のキリスト教の国とはなかなか分かりあえず、必要以上に交流を持とうとはしない。文化的な交流だけではなく、経済的にも資源である石油を売る以外にはあまり開かれていなかった。そして株式市場の方も、一部の周辺国を除いて、外国人投資家はサウジアラビア株を買うことはできなかった。

　しかし22日に、それが変更される方針だとサウジアラビア当局から発表された。もちろん外国人投資家に開放されたからといって、個人がサウジ株を簡単に売買できるようになるわけではない。当面は機関投資家による売買が中心となるだろう。

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　サウジアラビアの証券取引の歴史はまだ浅い。サウジアラビアの証券取引所は、首都のリヤドにあるサウジアラビア証券取引所、通称タダウルだけだ。タダウルは2007年3月に設立されたので、また7年ほどの歴史しかない。

　銘柄も少なく現在150銘柄程度しかないが、株式指数としてタダウル指数というものがある。タダウル指数を見ると、2010年頃は6,000だったのだが2013年頃から急騰し、2014年7月現在で10,000に届きそうなところまで来ている。世界同時株高が、サウジアラビアの株も押し上げているようだ。

　また為替市場を見ると、サウジアラビアは通貨としてリヤル（SAR）を使用している。リヤルは完全な変動相場制ではなく、米ドルに連動させるドルペッグ制を採用している。そのため、米ドルにはほぼ固定されたレートで推移する。よく知られていることだが、イスラエル以外の中東諸国には反米感情が存在している。サウジアラビアにもあるのだが、通貨面ではドルペッグ制にして米ドルに通貨の安定を依存していることになる。しかしサウジアラビアとしては、将来的にはドルペッグ制を廃止して通貨的な独立の道を探っていると言われている。

　とにかく、サウジアラビアの株式市場が外国人に開放されれば、投資家にとっての選択肢が増える。個人で直接は売買できなくても、サウジ株に投資する投資信託などが登場するのは確実だろう。中東地域は政情不安などいろいろリスク要因もあるが、選択肢が増えることは決して悪いことではない。中国の株式市場もこれまでは閉鎖的だったが、だんだんと外国人にも開放される方向に向かっている。株式市場のグローバル化は確実に進展しているようだ。

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