ココア暴落でチョコレート価格下落に期待

チョコレートの原料であるココア（カカオ豆）価格が2024年に大暴騰したことで、昨年から今年にかけて日本のチョコレート小売価格も高騰した。しかし今年になって逆に年初来50％以上暴落しているため、今後はチョコレート価格の下落が期待できる。

世界的な需要減退も下げ要因に

　すでに誰もが実感しているように、2022年頃から日本国内のあらゆる物価が上昇しており、市民の生活が厳しくなってきている。物価高の要因は複数あるが、まずは2020年代に入って世界的なインフレ傾向になったこと。

　また日本の場合は2022年から円が下落し、その後数年間は主に1ドル＝140～160円の安値に留まっていることも物価を押し上げる要因となっている。さらに少子化人手不足などによる人件費の高騰もある。

　そして特定の製品は原材料価格の高騰が価格上昇要因になっている。チョコレートはその典型例で、原料であるココア（カカオ豆）の価格が2024年に大暴騰した。その原因となったのは、生産国である西アフリカのガーナやコートジボワールで悪天候が続いたことで、2023年から24年にかけて収穫量が減少したことが価格を押し上げた。

　さらに長期的にカカオ豆生産に影響を及ぼすと懸念された要因として、違法な金採掘に使用される水銀がカカオ農園に違法に廃棄されていることや、多数のカカオ豆の木がカカオ膨梢ウイルスというウイルスに感染してしまったことなどがある。

　以上のような材料から2024年にNY先物市場のココア価格は暴騰し、年末には1トン＝12,500ドルを超えて史上最高値をつけた。

　しかし昨年のような暴騰相場は長続きしなかった。今年が明けるとココア価格は急激な下げ相場となり、3～4月頃には一旦11,000ドルまで反発したが8月以降は下げが加速。7月の終値は8,500ドルだったが、その後の4ヶ月弱で40％暴落して11月下旬には5,100ドルをつけた。

　昨年の暴騰を考えると今年に入ってからここまで暴落したのはかなりサプライズだが、現実に昨年の終値からすでに半値未満になった。価格下落要因となったのは生産国で今後カカオ豆の生産量が回復できる見通しが立ったことや、価格高騰による世界的な需要減退であった。

　こうなると昨年から今年にかけて高騰してきた国内のチョコレート小売価格が、今後は下げに転じることも期待できる。実際には他の価格上昇要因、円安や人件費の高騰は取り除かれていないので、ココア価格が下がったというだけで必ずしもチョコレート価格が下がるとは言い切れない。

　だがココア安は強力な価格押し下げ要因になる可能性は高い。コーヒーのように依然高止まりしている先物もあるが、ココア価格が下がっただけにチョコレートの小売価格は今後下落が期待できる。