ウクライナがデフォルトで新たな金融危機も

筆者 鳥羽賢 |

ウクライナがロシアに対する30億ドルの債務を支払えずデフォルト。

 一昨年の政変以来欧州とロシアの対立の場となっていたウクライナだが、そのために財政が極めて悪化していた。そして年末年始になって、ついにロシアに対して発行していた債券30億ドル(約3580億円)分が返済できず、デフォルトとなった。

ウクライナの過去記事はこちら。

 

IMFの支援も受けていた

 

 ウクライナの現在の苦境は、2014年の2月に起こった政変から始まった。それまでロシア寄りの政権だったウクライナだが、国中に親欧米派の人々によるデモが広がり、結局ロシア寄りの政権は転覆されて欧米寄りの新政権が誕生。

 それ以後、ウクライナは国として欧米寄りの姿勢を貫くことになった。しかし東部や南部にはロシア系の住民が多く、その地域の人が反発。一方的にウクライナからの独立を宣言し、独立を認めないウクライナ政府と対立する。

 対立は政治的だけではなく軍事的にも広がり、東部などで政府軍と反政府軍との戦闘が続いた。そしてロシアがロシア寄りの反政府軍を支援したことから、欧米と対立が深まっていった。ウクライナを巡る対立のために、それ以前はG-8と言われてロシアも入っていた先進国グループからロシアが追い出され、昔のG-7に戻った。

 欧米とロシアは2014年夏頃からお互いに経済制裁を課し合っており、それは特にロシア側にかなりのダメージになっている。だがロシアは政策を変える様子がない。

 ただ震源地のウクライナも、政変以来経済的にかなり悪化が続いてきた。それは国内が分裂し、また一部地域で戦闘が続いているのが大きな原因だった。財政的にも苦しくなったため、2014~15年にはIMFの支援を何度か受けていた。

 そして先月になって、ウクライナがロシアに対して持っている30億ドルの債務を、支払えなくなるのではないかという観測が高まる。これはウクライナがまだロシア寄りだった2年前に、ウクライナが発行した債券をロシアが購入するという形で負った債務だった。

 もともとは15年の12月20日が支払い期日だったのだが、その日を過ぎても返済はできなかった。その後は31日まで「特恵期間」があったが、31日になってもとうとう支払えず。これでウクライナはデフォルト状態になった。

 今後ロシアはウクライナに対する債権に関し、法定闘争に持ち込むと見られている。ウクライナはデフォルト前に債権者に対して債務再編を提案していたのだが、ロシアはウクライナが提示した条件に満足できないために再編に加わろうとしなかった。

 ところで、日本もこれまでウクライナに対し、支援として1500~2000億円程度を貸し付けている。ウクライナがデフォルトになると、この債権も回収困難になる可能性がある。

 最近はやや落ち着いているとは言え、欧州にはまだギリシャ問題がくすぶっている。そこに来てウクライナのデフォルトが加わると、欧州内で新たな金融危機が起こるリスクが高まるだろう。
 



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筆者について
鳥羽賢

慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。ポータルサイト『オールアバウト』では、「世界のニュース・トレンド」テーマなどで、数年間政治・経済ニュース記事を執筆。FXの専門誌『月刊FX攻略.com』でも各通貨ペアの特徴解説など、FX攻略記事を執筆した経験がある。主な著書に、『とにかくわかる! FX超入門者』(すばる舎)などがある。翻訳活動も行い、FX投資教材の翻訳を中心に、金融分野の翻訳実績も多数。自身でも投資を行い、FXのトレードも2006年以来7年以上にわたって継続している。