イーサリアムの流通量が減少に転じる

イーサリアムは2021年から取引量に応じて現在流通している通貨が削除される仕組みが導入されている。そして最近の取引量増加で削除されるイーサリアムが増え、新規発行量を上回って流通量が減少に転じた。

最近は発行量減少、削減開始

　仮想通貨は数多く出回っているが、時価総額で1位のビットコインと2位のイーサリアムは不動の地位にある。数年前は3位だったリップルはすでに順位を落としているが、この2通貨だけは揺るぎない地位を築いている。

　そのイーサリアムだが、最近になって流通している通貨の総量が減少に転じたという報道が流れた。これらの報道では「イーサリアムがデフレ資産に」という言い方をしているものが多い。仮想通貨では流通量が減っている通貨を「デフレ資産」と言い、逆に増えている通貨を「インフレ資産」と言う。

　また仮想通貨が削除されることを「バーンする」という。ビットコインは毎年少しずつ発行されているがバーンはされない通貨なので、インフレ資産と言える。

　イーサリアムももともとはバーンされることのない仮想通貨だった。しかし2021年夏にアップデートの「ロンドン」を実施。その中でEIP-1559という内容が含まれており、EIP-1559によって取引量に応じて一定数をバーンする仕組みが導入された。ここで言うEIPとはイーサリアム改善計画（Ethereum Improvement Proposal）の略。

　さらに2022年9月には次のアップデート「マージ」を実施。このアプデではイーサリアムの発行量がそれまでより10分の1程度である1日あたり1,600枚まで大幅に削減された。

　発行量が大幅減少したことで、昨年9月以降は流通量が減少する可能性はかなり高まっていた。そこにさらに11月のFTX破綻による仮想通貨市場の混乱を受けた取引量の増加や、NFTの普及に伴う取引量の増加（NFTの多くはイーサリアムのブロックチェーンを利用している）が重なった。

　その結果、イーサリアムの流通量は減少に転じた。なお減少したのは今週が初めてではなく、昨年9月の「マージ」以降時々流通量はマイナスになっていた。

　現在出回っている情報によると、イーサリアムは過去7日間で1万4700枚以上バーンされたとのことだ。つまり1日あたり2,100枚以上となる。現在は1日あたりの発行量上限が1,600枚となっているので、そのバーン数なら流通量は減少したとわかる。

　仮想通貨も法定通貨や製品と同じく需要と供給の法則があるので、流通量が減ると価格は上がりやすい。流通量減少はイーサリアムにとって追い風になるのだろうか。