かつての王者・ノキアブランドの携帯が復活へ

かつて携帯業界で世界最大のシェアを持っていたフィンランドの携帯メーカー・ノキアのブランドが、復活することになった。「盛者必衰」を地で行くがごとくスマホの登場とともに急激に衰退したノキアだが、今度はスマホの分野で成功するのだろうか？

Appleなどに押されて衰退

日本ではあまりシェアが大きくなかったが、かつてフィンランドのノキアが世界の携帯市場で最大のシェアを持っていたことがあった。

ノキアという会社自体は携帯電話が登場する遥か前の1865年から存在していた。それから100年余りはさまざまな事業を行い、1980年代に携帯電話が登場してからこの業界に参入する。

最初は振るわなかったものの、2000年代になって頭角を現し、2008年には世界の携帯市場で40％ものシェアを占めて世界一の携帯メーカーとなる。

この時点でノキアは携帯業界で敵なしかに思われたが、すでに終わりは始まっていた。AppleのiPhoneがほぼこの時期に登場していたからだ。これまでの携帯電話とは全く違う機能と使いやすさを持ったiPhoneや他のスマホが、携帯市場でノキアを駆逐していった。ノキアも独自にスマホを出していたのだが、Appleやサムスンの携帯には太刀打ちできず結局携帯業界のシェアはどんどん縮小することに。

ノキアはその後2014年に携帯事業をマイクロソフトに売却し、ここで一旦ノキアブランドの携帯は終結したかに見えた。ノキアは携帯事業売却後、通信インフラ事業をメインに行っている。

ところがここにきて、ノキアブランド携帯の復活の話が出てきた。ノキアの携帯をまた開発しようとしているのは、ノキアの元幹部が経営するフィンランドの会社・HMDグローバルだ。

HMDグローバルはノキアやマイクロソフトから、ノキアブランドの使用権や知的財産権などを購入。ノキアブランドの携帯を開発できる体制を整えた。そして製造は、台湾の鴻海（ホンハイ）精密工業に委託する。鴻海は電子機器の委託製造を行っている企業で、最近は日本のシャープを買収した。

これからHMDはスマホやタブレットなどを開発・販売していく予定になっている。現在のスマホ・タブレット市場はAppleやサムスンなど巨大企業がシェアを占めており、その中に入り込むのは難しい。

ただ日本はともかく、世界では「ノキア」のブランドはまだ人気が根強い。これからいい製品が開発できれば、新ノキアのスマホはかなり売れるのではないだろうか。