「緑のコーラ」を発売するコカコーラ社の現状

世界的に人気の高い清涼飲料であるコカコーラだが、植物由来の甘味料を使用して健康志向に合わせた商品「コカコーラ・ライフ」が、明日9日から日本で発売される。この商品はコカコーラのラベルがこれまでの赤ではなく緑なので、「緑のコーラ」とも呼ばれている。

植物由来原料なので緑ラベル

コカコーラと言えば「赤」。コカコーラの赤色のラベルは、日本人でもみんなが知っているマークだ。しかしこのラベルを緑にした新製品「コカコーラ・ライフ」が、9日から日本で発売される。

緑色の新製品は何が違うかというと、ステビアなど植物由来の甘味料を使用して、世界的な健康志向の高まりに応えている。別会社の清涼飲料「ポカリスエット」は、すでに「ポカリスエット・ステビア」というステビアを使った商品をかなり前から販売しているので、清涼飲料のファンにとってステビアはすでによく知っている原料だろう。

コカコーラはこれまでにも「コカコーラ・ライト」や「コカコーラ・ゼロ」など、カロリーオフにして消費者の健康を考えた商品を出してきたが、ここにきてさらに一歩進んだ物を出してきた。

コカコーラ・ライフはアメリカでは昨年8月からすでに販売されている。その一方で、ライバルのペプシコ社も「ペプシ・トゥルー」という同じコンセプトの商品をアメリカで去年10月から販売している。この2社は長年のライバルだが、今度は天然甘味料を使った製品で火花を散らして争い始めた。

このように新製品を出しているコカコーラ社だが、最近の業績は厳しい。2014年12月の決算は2年連続の減収減益だった。減益の理由は、まずドルが高くなっていること。コカコーラ社の売上は約58％が海外と言われているので、ドル高になるとドル建ての利益が目減りしていく。

もう1つはすでに述べたような、消費者の健康志向の高まり。コカコーラは「コカコーラ・ゼロ」などカロリーオフの新製品を次々に出しているのだが、元祖コカコーラのカロリーの高さ、糖分の多さは変わっていない。その点を消費者団体などから突っ込まれており、カロリーの高い炭酸飲料の売り上げは厳しい。

コカコーラ社は非炭酸飲料もたくさん販売しているが、2014年第4四半期の売上伸び率は、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパなどの地域で、非炭酸飲料が炭酸飲料を上回っていた。ただしアジア・太平洋地域では、炭酸飲料の方が伸びていた。

今後コカコーラ社は、経営建て直しのためにリストラを進めると発表している。リストラでは2019年までに30億ドル（約3600億円）のコストを削減し、また全世界で1800人ほどの従業員を解雇する。ただコカコーラ社の従業員は13万人ほどいるので、全体に対する割合としては1％程度だ。

ただ業績が低迷している割には、コカコーラ株はそれほど下げていない。その理由の1つに、米国株式市場全体がここ数年好調な点もある。むしろ市場が堅調だからこそ、下げずに横ばいで留まっていられるとも言える。リストラや「緑のコーラ」でどの程度業績が建てなおせるのか、コカコーラの進む道は険しい。